...教室の外から我が子の叱られてゐるのを立聞(たちぎき)する...
石川啄木 「足跡」
...体はよし手と足と一つ一つにちぎりとらるるともわたしの心はあなたを離れませぬ...
伊藤左千夫 「春の潮」
...断(ちぎ)れ断れで思想上の立入った問題には触れなかった...
内田魯庵 「最後の大杉」
...高一が、波うちぎわで、ひとつの大きなたるを見つけたことは、まえにいいましたが、近づいて、たるのふたをすこしあけてのぞいてみると、おどろくではありませんか、なかには、見おぼえのある電気鳩がはいっていたのです...
海野十三 「電気鳩」
...ネクタイやカラーやバンドや靴ひもを引きちぎって...
大杉栄 「日本脱出記」
...兎のやうな耳朶(みゝたぶ)を拗(ちぎ)れる程引張られるかも知れないて...
薄田泣菫 「茶話」
...お前にもやろう」パンをちぎって投げてやると...
高見順 「いやな感じ」
...ずたずた千切(ちぎ)り裂きたいほど...
太宰治 「火の鳥」
...乙彦が無心に爪で千切(ちぎ)りとつた痕(あと)まで...
太宰治 「火の鳥」
...遠慮深くて律義(りちぎ)な君が...
太宰治 「未帰還の友に」
...オーソドックスデナイトコロノ痴戯(ちぎ)ノ数々ヲ...
谷崎潤一郎 「鍵」
...ちぎれ雲の焼酎一杯あほつたせいか...
種田山頭火 「行乞記」
...この兵馬と深く契(ちぎ)つた女――玉枝殿の母親のお雪殿であつたよ」「――」「五郎次郎の爲に...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...あの嫁を喰ひちぎつてやりたい」飢ゑてはゐない隣家の農婦が庭さきで歯ぎしりしてゐた...
原民喜 「火の唇」
...……(次から次とユスラ梅をちぎっては口に入れる)(三好は石に腰かけたままボンヤリそれを見ている...
三好十郎 「好日」
...そして地質のきわめてよい織物の小袿(こうちぎ)を着た元日の紫の女王は...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...彼らにも不似合いな律儀(りちぎ)さであった...
柳田国男 「木綿以前の事」
...中宮の留守のために裳もつけず袿姿(うちぎすがた)で立っているのは...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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