...唯昔の苦行者のやうに無何有(むかう)の砂漠を家としてゐる...
芥川龍之介 「侏儒の言葉」
...唯昔の苦行者のように無何有の砂漠を家としている...
芥川龍之介 「侏儒の言葉」
...神思(しんし)殆(ほとん)ど無何有(むかう)の郷(さと)にあるに似たり...
芥川龍之介 「わが家の古玩」
...かの我を忘れて魂無何有(むかう)の境に逍遙(さまよ)ふといふ心地ではない...
石川啄木 「葬列」
...湯と酒とが無何有郷に連れていつてくれた...
種田山頭火 「旅日記」
...天外万里無何有(むかう)の郷に漂着したるの想いをなすならん...
徳富蘇峰 「将来の日本」
...遠く無何有の花やかな影であり...
牧野信一 「歌へる日まで」
...ぼんやりと「無何有の境」に居る父の姿が...
牧野信一 「鏡地獄」
...安らかに無何有の境に達して大鼾きをあげてゐる者がある――おそらく夢だけで消えてしまふであらう「ソクラテス学校」――そんな題名の小説を想つてゐる私が...
牧野信一 「くもり日つゞき」
...愚かな五体は徐ろに無何有の郷に溶けて行つた...
牧野信一 「坂道の孤独参昧」
...相変らずその人は無何有の奈落で安心してゐる模様であつた...
牧野信一 「心象風景」
...無何有の夢に達する門を感じた...
牧野信一 「ゾイラス」
...私は何うしても捕へることが敵はぬ無何有の悪意地な夢が...
牧野信一 「創作生活にて」
...無何有の風情が突つぴやう子もなく...
牧野信一 「天狗洞食客記」
...やがては川の流れの無何有に病らひもなく夢もなく消えてしまひさうだつた...
牧野信一 「剥製」
...吐けば朗々として恰も混沌の無何有から山を越えて鳴り響く不死なるものゝ風韻が籠つてゐるかのやうであつた...
牧野信一 「バラルダ物語」
...遠く近く無何有に煌くアンドロメダは金粉となつて降り灑ぎ僕は何も彼も忘れて...
牧野信一 「ユリイカ・独言」
...泥酔のあまり大活躍をして既に大分息苦し気であつた九郎はウーツと唸つたまゝ静かに無何有の境の人であつた...
牧野信一 「鎧の挿話」
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