...僕はその男の横っ面を一つ殴ってやりたいほどに拳が固まった...
大杉栄 「日本脱出記」
...「見るもの、聞くものが面白くないばかりか、何を見ても、聞いても、癪(しゃく)にさわることばっかりだから、今日は、ここへしけ込んだを幸い、貴様を呼び寄せて、横っつらをひっぱたいてやろうと思っているのだ」「これは驚きやした!」金助は頬をおさえて、やにわに飛び上るような恰好(かっこう)をし、「気がくさくさするから、金助を呼び出して、うんとひっぱたいてやろうなんぞは、全く恐れ入ります、ひっぱたく方の御当人は、それでお気が晴れましても、ひっぱたかれる方の金助の身になってごろうじませ」金助は、仰山な表情をして、痛そうに頬を押え、「しかしまあ、殿様、金助如きが面(つら)でも、打ってお心が晴れるなら、たんとお打ちなさいまし、金助、殿のお為めとあらば、横っ面はおろか、命まで厭(いと)いは致しませぬ」「じゃ、なぐるぞ」「さあ、お打ち下さいまし」「いいか」「はい、殿のお為めとあらば、骨身を砕かれても厭うところではございませんが、それに致しましても、なるべく痛くないようにお打ちを願います、ヘボン先生に足を切らせると、痛くないように切って下さるそうでげすが、あの伝でひとつ……」「それ、面を出せ、横ッ面を……」「はい、なるべく、どうか、そのヘボン式というやつで」「いいか」「是非に及びませぬ、こんなことだろうと思って、家を出る時に、女房子と水盃をして出て参りました」「泣くな」「泣きゃいたしませぬ」金助は覚悟をして、なめくじのような恰好をし、頬のところを主膳の方に差向けて、すっぱい面をしながら、「いつぞやは、御新造様に打たれました、あれはあまり痛みませんでございました...
中里介山 「大菩薩峠」
...平手で横っ面をひっぱたかれたにしては...
中里介山 「大菩薩峠」
...道庵先生の横っ面をピシリと音を立てて一つひんなぐりました...
中里介山 「大菩薩峠」
...我知らず火鉢の中をのぞき込む鐚の横っ面を...
中里介山 「大菩薩峠」
...兄の横っ面を張って大変叱(しか)られた...
夏目漱石 「坊っちゃん」
...見損なやがったか――って」「本当に返したんだろうな」「横っ面へ叩きつけたのは嘘だが...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...だが私の手が奴の横っ面へ届かない先に私の耳がガーンと鳴った...
葉山嘉樹 「淫賣婦」
...平手で思い切り横っ面を撲られて...
久生十蘭 「魔都」
...力任せに山木の横っ面を撲(は)りつけると...
久生十蘭 「魔都」
...その一人は既に仲間の横っ面に拳骨を一つ喰らわせたところであった...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...いかにも気持のよさそうな顔をした横っ面をぶんなぐってくれようと...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...おばあさんの横っ面をはりとばしてやろうかと思うくらいよ...
ルイザ・メイ・オルコット L. M. Alcott 水谷まさる訳 「若草物語」
...今だってあいつの横っ面はりとばしたいくらいよ...
ルイザ・メイ・オルコット L. M. Alcott 水谷まさる訳 「若草物語」
...横っ面(つら)をはりとばすか...
山本周五郎 「青べか物語」
...横っ面の一つもはり倒してやるがいいじゃあねえか」「そう思ったんでやす...
山本周五郎 「ゆうれい貸屋」
...何も知らない吾輩の横っ面(つら)をガアンと一つ喰らわしたもんだ...
夢野久作 「超人鬚野博士」
...いきなり唐牛児の横っ面へ...
吉川英治 「新・水滸伝」
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