...こつちが堪らないわ」常子は眉を大げさに顰(ひそ)めて見せながら...
犬養健 「朧夜」
...生涯を学問に貢献しやうといふ先生が嬢様のお気に入らうと頭髪(あたま)を仏蘭西(フランス)風とかに刈つて香水を塗(なす)りつけコスメチツクで髯を堅め金縁目鏡に金指環で妙(おつ)ウ容子振つた態(さま)は堪らない子...
内田魯庵 「犬物語」
...石の産地近くに来たのだから堪らない...
薄田泣菫 「石を愛するもの」
...みんな堪らないほどわざとらしくきざっぽく思われだした...
太宰治 「彼は昔の彼ならず」
...銅山を此外に起されては堪らない...
田中正造 「公益に有害の鑛業を停止せざる儀に付質問書」
...たつた一晩外泊したばかりなのに今朝方から何と云ふ譯もなく自分の書齋が戀しくなつて堪らない氣がしだした...
永井荷風 「新歸朝者日記」
...他人がよくなつて退院するのがあると神經質の奴は無闇に羨んでばかり居るので馬鹿なことだとけなして居たものだが矢つ張り自分が心配で堪らない時は人がみんな平氣な顏をして居るやうでどうも羨ましい心持になるよ……だが君等はまあいゝな」主人はいつた...
長塚節 「開業醫」
...ハルピンて全く堪らない感じのする町だね...
南部修太郎 「ハルピンの一夜」
...どうしても此のままでは堪らないと感じた彼は...
浜尾四郎 「彼は誰を殺したか」
...堪らない溜息を吐いた...
牧野信一 「「悪」の同意語」
...妻に堪らない後ろ暗さを覚えるので...
牧野信一 「心象風景」
...同時に堪らない寂しさが湧き上つた...
牧野信一 「ランプの明滅」
...女學生はとても堪らないなどゝ昂奮した筆致で書いたり...
水上滝太郎 「大阪の宿」
...堪らない心持になってしまいました...
宮本百合子 「いとこ同志」
...それでも堪らないとみえて...
山本周五郎 「いさましい話」
...……それでは堪らない...
山本周五郎 「めおと蝶」
...若林の遣り口は早い話がザットこんな塩梅(あんばい)式だから堪らないのだ...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...堪らない退屈が座間にたゞよひ...
吉川英治 「折々の記」
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