...鼈甲(べっこう)の中指(なかざし)に影が透く艶やかな円髷(まるまげ)で...
泉鏡花 「婦系図」
...鼈甲屋の職人は、仕事場のわきに、紅梅を一鉢をおき、歌澤の師匠は、竹格子の出窓に朝顏の鉢植をならべ、番町の御隱居は、床の間に福壽草を据ゑて、せめて自然への心やりをしてゐるに過ぎない...
竹久夢二 「砂がき」
...鰻や時には鼈(すっぽん)や...
豊島与志雄 「特殊部落の犯罪」
...鼈甲がめでしょう...
豊島与志雄 「女客一週間」
...思ひ切つて大きく結うた髮には鼈甲の大きな簪が十七本...
長塚節 「菜の花」
...鼈甲の髪飾りの花が...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...結構な鼈甲(べつかふ)の肌に...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...その鼈甲(べつかふ)の櫛(くし)が證據のつもりなら...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...水門はどうして開けるのだ」平次は鼈甲(べつかふ)のことを忘れたやうに...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...座敷牢へ投り込んでそのまゝ知らん顏をしたものだらう」「隨分太(ふて)え野郎ですね」「鼈甲(べつかふ)の櫛(くし)や赤い紐は...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...金銀鼈甲(べつかふ)の細工物で...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...鼈甲屋とは思わせない入口だった...
長谷川時雨 「旧聞日本橋」
...鬢(びん)の毛と一緒に束髪みたいに掻(か)いていたのだが――鼈甲(べっこう)の櫛(くし)...
長谷川時雨 「鬼眼鏡と鉄屑ぶとり」
...白紙(かみ)を鼈甲の笄(かうがい)に捲いた...
長谷川時雨 「春」
...上手に酒を加えると油と砂糖が互(たがい)に溶け合って鼈甲色(べっこういろ)に透通ったものが出来る...
村井弦斎 「食道楽」
...長崎の鼈甲細工(べっこうざいく)も世に聞えます...
柳宗悦 「手仕事の日本」
...事務室の方向を鼈甲縁越しにジイッと見ていたが...
夢野久作 「オンチ」
...鼈甲(べっこう)ぶちの眼鏡をかけた権内が...
吉川英治 「雲霧閻魔帳」
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