...葉子は黝(くろ)ずんだ碧(あお)と紫の鱗型(うろこがた)の銘仙(めいせん)の不断着にいつもの横縞(よこじま)の羽織を着て...
徳田秋声 「仮装人物」
...目前(めさき)に黝んで見えた...
徳田秋声 「黴」
...枯れた海藻のように黝ずみ...
豊島与志雄 「エスキス」
...黝ずんだ天井、薄汚れのした黄色っぽい壁、汚点(しみ)のある肯い窓の障子、それと対照して、新らしく張り換えたらしい真白な縁側の障子、浅い床(とこ)の間(ま)の横の一枚の襖と反対の側の二枚の襖とは、処々に切り張りがしてあった...
豊島与志雄 「反抗」
...所々黝ずんだ仄白い遺骨が...
豊島与志雄 「幻の彼方」
......
中原中也 「山羊の歌」
...平屋建の黝(くろず)んだ家屋が広いアスファルトの両側につづいて...
原民喜 「苦しく美しき夏」
...左手に黝く見えるのはヴァンセイヌの森であろう...
久生十蘭 「墓地展望亭」
...蒼黝い銃身を物凄く光らせている...
久生十蘭 「魔都」
...黝(くす)んだ木造の料理店は...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...黝(くろ)ずんだ衣裝箪笥があつて...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...日が暮れ初めてあたりの林が黝ずんで来だすと...
北條民雄 「間木老人」
...地は黝(くろ)ずんで...
三島霜川 「解剖室」
...タチガイは二種ともタイラギと別物で殻の色黒からず淡黝黄だが...
南方熊楠 「十二支考」
...眼で見る風景までを黝(くろず)ませる種類のものではなかった...
「一本の花」
...黝みそめた若松の梢にひそやかな濤のとどろきが通いもしよう...
宮本百合子 「海辺小曲(一九二三年二月――)」
...朽ちそうな黝ずんだ色に苔まで生えている...
横光利一 「旅愁」
...黝ずんだ影法師となって泛んでいた...
横光利一 「旅愁」
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