...黝黒(どすぐろ)い水に毒茸の様な濁つた泡が...
石川啄木 「赤痢」
...その「平安(へいあん)」や「寂寥(せきれう)」の黝(ねづみ)の色の毛布(けぬの)もて掩(おほ)へる如く...
上田敏 上田敏訳 「海潮音」
...―――どす黝(ぐろ)く濁った...
谷崎潤一郎 「細雪」
...紫色に黝(くろず)んだ頬を固く痙攣(ひきつ)つたまゝ速く荒い呼吸をしてゐた...
田畑修一郎 「鳥羽家の子供」
...沖の方は黝ずんで盛り上っている...
豊島与志雄 「山上湖」
...変に底暗く黝ずんで...
豊島与志雄 「月かげ」
...いま日中を通行する黝鐵の凄く油ぎつた巨重の逞ましい機械をみよこの兇逞な機械の踏み行くところどこでも風景は褪色し空氣は黄ばみ意志は重たく壓倒される...
萩原朔太郎 「青猫」
...大きなガスタンクの黝んだ面に...
原民喜 「永遠のみどり」
...油性塗料を塗った壁は上の方が煙草の煙で黝(くす)み...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...その頃はまだ帝室の紋章たる*2双頭の鷲を看板につけていたのが穢(きた)なく黝(くす)んでしまったやつである...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...倒さに吊りさげた鴨を描いた大きな黝(くす)んだ油絵が壁の半ばを占領している...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...日が暮れ初めてあたりの林が黝ずんで来だすと...
北條民雄 「間木老人」
...妙に黝んで見える...
堀辰雄 「春日遲々」
...海の色はなんだかどす黝(ぐろ)くさえあった...
堀辰雄 「旅の絵」
...タチガイは二種ともタイラギと別物で殻の色黒からず淡黝黄だが...
南方熊楠 「十二支考」
...海は蒼黝(あおぐろ)くて見るから冷たそうだ...
宮沢賢治 「風野又三郎」
...黝みそめた若松の梢にひそやかな濤のとどろきが通いもしよう...
宮本百合子 「海辺小曲(一九二三年二月――)」
...黝暗と死静とがすべての世界を支配せよ...
吉田絃二郎 「沈黙の扉」
便利!手書き漢字入力検索