...寺の庫裡(くり)のようにがらんと黝(くろ)ずんだ広間と土間とにこもって...
有島武郎 「親子」
...【熔岩の分析】黒神村の上方に流下せる黝黒色熔岩の一片を採り比重を測りたるに二...
石川成章 「櫻島噴火の概況」
...紫深く黝(くろず)んだ岩手山が...
石川啄木 「鳥影」
...やや黝(くろ)ずんだ破片が少量入っているだけで...
梅崎春生 「狂い凧」
...田は雪が消えたままに柔かく黝(くろず)んでいた...
徳田秋声 「足迹」
...水の黝んだ川岸や向うの広い通りには淡い濛靄(もや)がかかって...
徳田秋声 「足迹」
...黝(くろ)い板廂(いたびさし)に霙(みぞれ)などのびしょびしょ降る十一月のころまでを...
徳田秋声 「爛」
...凹間(くぼま)らしい黝(くろず)んだ向う側に...
徳永直 「戦争雑記」
...黝ずんだ針葉樹林をちりばめて...
豊島与志雄 「山上湖」
...黝ずんだ天井、薄汚れのした黄色っぽい壁、汚点(しみ)のある肯い窓の障子、それと対照して、新らしく張り換えたらしい真白な縁側の障子、浅い床(とこ)の間(ま)の横の一枚の襖と反対の側の二枚の襖とは、処々に切り張りがしてあった...
豊島与志雄 「反抗」
...半日たつてゐた青いお目々は牡丹をみつめ黝いお鼻は匂ひにぬれて...
新美南吉 「仔牛」
...この日中を通つてゐる巨重の逞ましい機械をみよ黝鐵の油ぎつたものすごい頑固な巨體だ地面をどつしりと壓へつける巨きな集團の動力機械だ...
萩原朔太郎 「青猫」
...天井からは何か黝ずんだ蜘蛛の巣のやうなものが...
原民喜 「魔のひととき」
...青黝(あおぐろ)い背を光らせながらサラサラと草を押しわけてそばに積んである油壺の中へニョロリと入ってしまった...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...絵にもならないほど黝(くす)んでいる...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...必らずしもその老朽を防ぐよすがにはなりそうもない黝(くす)んだ屋根の上には...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...黝く浸(にじ)んで物の輪郭もぼやけてゐた...
北條民雄 「間木老人」
...落葉(から)松の林を越え蘆の根の黒く凍る沼のかなた赭ちゃけた地肌に黝ずんだ小舎の続くところ高麗雉子が谷に啼く咸鏡の村よ雪溶けの小径を踏んでチゲを負ひ...
槇村浩 「間島パルチザンの歌」
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