...こんなに黝(くす)んでいるやつは...
海野十三 「時限爆弾奇譚」
...変などす黝(ぐろ)い青いものを嘔(は)いてばかりおられ...
谷崎潤一郎 「細雪」
...鈍い青緑と黝(くろ)い紫との鱗形(うろこがた)の銘仙の不断着で...
徳田秋声 「仮装人物」
...どす黝い池の水に架つた土橋...
徳田秋聲 「老苦」
...浪子はいよいよ黝(くろ)うなり来る海の面(おもて)をながめて太息(といき)をつきぬ...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...薄明(うすあかり)を食べてゐる橋の下で友禅染を晒すのだとかいふ黝(くろ)い水が産卵を終へた蜉蝣(かげろふ)の羽根を滲ませるおまへはもう 暗い部屋へ帰つておくれ色褪せた造りものの おまへの四肢(てあし)の花々で貧血の柳らを飾つてやることはないコンクリートの護岸堤は 思ひのままに白(しら)けさせようおまへはもう 暗い部屋へ帰つておくれああ おまへの歯はよく切れるさうな...
富永太郎 「無題 京都」
...黝ずんだ木卓の間をぬって...
豊島与志雄 「在学理由」
...白くなりかけた髪の毛と赤黝い額と低い鼻とが一緒になって...
豊島与志雄 「生あらば」
...いま日中を通行する黝鐵の凄く油ぎつた巨重の逞ましい機械をみよこの兇逞な機械の踏み行くところどこでも風景は褪色し空氣は黄ばみ意志は重たく壓倒される...
萩原朔太郎 「青猫」
...黝(あおぐろ)くなった躑躅の葉にザブザブ水を撒いてやりながら...
林芙美子 「清貧の書」
...天井からは何か黝ずんだ蜘蛛の巣のやうなものが...
原民喜 「魔のひととき」
...蒼黝(あおぐろ)い針葉樹の列が...
久生十蘭 「キャラコさん」
...黝く浸(にじ)んで物の輪郭もぼやけてゐた...
北條民雄 「間木老人」
...瞼は黝(くろず)んだ...
本庄陸男 「石狩川」
......
三好達治 「艸千里」
...蝙蝠(こうもり)のように黝(くろ)ずんだ或る影が過ぎ去った...
室生犀星 「後の日の童子」
...水銀燈に照らされて妙に黝(くろ)ずんだ腮鬚(あごひげ)みたいに見えるのです...
夢の久作(夢野久作) 「人間腸詰」
...黝ずんだ影法師となって泛んでいた...
横光利一 「旅愁」
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