...黙然として聞いたというのである...
泉鏡花 「開扉一妖帖」
...正造は独り黙然と端坐しているうちにおのずから涙が頬を伝った...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...「時に維摩、黙然として、言無し」と、『維摩経』に書いておりますが、黙然無言の一句こそ、実に文殊への最も明快な答えだったのです...
高神覚昇 「般若心経講義」
...いらだち黙然としていた...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...二人は私の前にまず黙然と座った...
永井隆 「長崎の鐘」
...灰色の破風家が黙然と空にそびえている...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「小フリイデマン氏」
...「――お茶でも入れましょうか」それにすら答えないで、二官は机から重い胸を離すと、黙然と、ひとりで自分の肩を二ツ三ツたたきながら、「ああ……」と、思わず太い吐息(といき)...
吉川英治 「江戸三国志」
...女ひとりと、いわれたので、彼はつつましく、土間の榾薪(ほたまき)に、腰をおろし、火桶に顔をかざしながら、話も遠慮がちに、黙然と、吹き荒るる雪の音を聞いていた...
吉川英治 「雲霧閻魔帳」
...真暗な山谷の声や夜空の風を黙然と聴いていた...
吉川英治 「三国志」
...黙然と聞いていたが...
吉川英治 「三国志」
...みだりに舌の根をうごかして、わが士気を惑わすな!」沮授は、黙然と外へ出て、「――悠(ユウ)タル黄河、吾レ其(ソレ)ヲ渡ラン乎(カ)」と、長嘆していた...
吉川英治 「三国志」
...黙然と奥の閣へかくれてしまった...
吉川英治 「三国志」
...ただ黙然と首を垂れていた...
吉川英治 「三国志」
...直義が黙然とただ戦線をにらんでいるので...
吉川英治 「私本太平記」
...――与三郎は床几(しょうぎ)に掛け、五、六名の旗本に囲まれ、黙然と、空を見ていた...
吉川英治 「新書太閤記」
...三帰りがけ――その晩も、いつもの居酒屋に立寄って、平四郎は、『亭主、冷酒(ひや)でよい、一杯くれい』薄暗い片隅の床几(しょうぎ)に腰かけて、黙然と、肘(ひじ)をついていた...
吉川英治 「夏虫行燈」
...「…………」光圀は、黙然と、ただひとりそこにいた...
吉川英治 「梅里先生行状記」
...そのまま、時政は、座に着いて、黙然と、守山の雲の去来を、廂(ひさし)ごしに見ていた...
吉川英治 「源頼朝」
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