...これでたくさんだ」と云い/\その黐だらけの二羽の鴨を古新聞に包んで持って帰った...
芥川龍之介 「鴨猟」
...そこで誰に教わるとなしに覚えた黐の製造をやる...
伊藤左千夫 「井戸」
...黐(もち)、樫(かし)、その他の雑木生い茂りて、すこぶる薄さびしき所なるが、四、五日前より天気快晴なるにもかかわらず、この境内の樹木より、ポツリポツリと雨雫(あましずく)が落ちきたるを近所の者が認め、「不思議だ、不思議だ」と言い触らせしより、たちまち大評判となり、毎日黒山のごとき人だかりにて、「むかし、この所にて首をはねられた囚人が、無縁仏となり得道解脱(とくどうげだつ)ができずして、地獄の中に泣き叫ぶ、その涙雨が降るものならん」と噂(うわさ)し合う、云云(うんぬん)...
井上円了 「おばけの正体」
...いつか彼の黐(もち)の様な手に掴まれていた...
江戸川乱歩 「孤島の鬼」
...鳥黐をぬりつけたのを...
豊島与志雄 「古木」
...それはもう砂ではなくて黐(もち)である...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...常磐木(ときはぎ)にてその葉は黐木(もち)に似たり...
永井荷風 「来青花」
......
長塚節 「長塚節歌集 中」
...あんなにはしっこい小鳥を黐(もち)で刺すのですから...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...黐(もち)の樹が見え...
原民喜 「冬日記」
...鳥黐(とりもち)のような浮洲に完全に乗りあげてしまった...
久生十蘭 「海難記」
...黐竿(もちざを)を肩にかついだ小さな弟と一しよに...
堀辰雄 「麥藁帽子」
...トキをつくらせると仲間が降りて来て黐にかゝつた...
牧野信一 「剥製」
...『樫づんど 若木の柘(つげ)に黐(もち)の森 雪隠椿...
正岡容 「随筆 寄席囃子」
...猴下り来って黐で眼を擦(す)り...
南方熊楠 「十二支考」
...日本でも熊野人は以前黐で猴を捕えたと伝え...
南方熊楠 「十二支考」
...しかし座敷の蠅位は黐(もち)でも取れますけれども台所の蠅は容易な事で取り尽せません...
村井弦斎 「食道楽」
...これと黐竿(もちざお)で刺された時とはよく似ていても...
柳田國男 「野草雑記・野鳥雑記」
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