...帯は赤の玉乗り友禅や麻の鹿の子などはんなりしてゐた...
上村松園 「写生帖の思ひ出」
...黄八丈の着物に鹿の子の帯を締め...
海野十三 「三人の双生児」
...額全体が余程(よほど)古いものらしく、背景の泥絵具は所々はげ落(おち)ていたし、娘の緋鹿の子も、老人の天鵞絨も、見る影もなく色あせていたけれど、はげ落ち色あせたなりに、名状(めいじょう)し難(がた)き毒々しさを保ち、ギラギラと、見る者の眼底に焼(やき)つく様な生気を持っていたことも、不思議と云えば不思議であった...
江戸川乱歩 「押絵と旅する男」
...谷間の底の鹿の子川をせきとめて...
太宰治 「津軽」
...溜池の端に、鹿の子滝といふ、この地方の名所がある...
太宰治 「津軽」
...猛鳥は足敏捷の牝鹿の子...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...そこで鹿の子が、親ならぬ親を親として、その懐ろに安んじて眠り、牛の親が、子ならぬ子を子として、二心なく育てる微妙な光景を見ていると、この分では、狼の子が来ても、牛はそれを憎まずに愛し得るだろうと思われる...
中里介山 「大菩薩峠」
...「どうしたのでしょう」おろおろする鹿の子を押し退(の)けるように...
野村胡堂 「十字架観音」
...夜と共に静かに静かに祈っておる鹿の子の許(もと)――番場町の清らかな浪宅へ帰る気にはなれなかったのです...
野村胡堂 「十字架観音」
...うかうかと鹿の子のことを思い出す暇もなかったのでした...
野村胡堂 「十字架観音」
...磔柱の上の鹿の子をふり仰いで口説き立てるのでした...
野村胡堂 「十字架観音」
...赤い鹿の子絞(しぼ)りの扱帶(しごき)が下がるではありませんか...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...眼の覺めるやうな紅鹿の子の扱帶...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...紅い鹿の子絞りの扱帶(しごき)を取上げました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...床の間に赤い鹿の子百合が咲いててさア...
林芙美子 「晩菊」
...……鹿は鹿の子の『か』と読ませるつもりだそうだから...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...鹿の子のやうな花はシモツケ...
堀辰雄 「牧歌」
...眸を、どっちへ向けてもお喜代の顔か、帯か、疋田鹿の子かが、闇のなかにちらついて見えた...
吉川英治 「松のや露八」
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