...髷にしても鹿の子の色にしても物にしても何段にも何段にも区別があった...
上村松園 「京のその頃」
...その時分私が二十二歳で桃割髪に鹿の子を懸けて...
上村松園 「栖鳳先生を憶う」
...『大分世帯に染(しゆ)んでるらしい目立つ鹿の子の油垢』調子は例によつてうき/\として居るが...
高浜虚子 「斑鳩物語」
...溜池の端に、鹿の子滝といふ、この地方の名所がある...
太宰治 「津軽」
...お秋のむせ返るような妖艶なとりなしもさることながら、本所番場町の浪宅に、淋しく留守をしておる筈(はず)の許婚(いいなずけ)、――若くて気高くて、賢い鹿の子の、清らかさを思い出していたのです...
野村胡堂 「十字架観音」
...「どうしたのでしょう」おろおろする鹿の子を押し退(の)けるように...
野村胡堂 「十字架観音」
...お秋は勘違いをしているのだ、俺には、鹿の子という、まだ祝言はせぬが、定まる配偶(つれあい)がある」「――――」「お前の気持はよく解るが、この上の罪を重ねるわけにはゆかぬ」「それでは、どうして番場町へ帰りません」「俺は鹿の子が怖いのだ、あの女は、あまりに聖(きよ)らかだ、夜も昼も、祈りに暮れている」「それじゃ鹿の子様は、もしや昔のままの切支丹の宗門を――」「これ、つまらぬ事を言うな」「あの頃は禁制といっても大したことはありませんでした...
野村胡堂 「十字架観音」
...磔柱の上に夢心地に祈っていた鹿の子は...
野村胡堂 「十字架観音」
...赤い鹿の子の帶を締めて洗つたばかりらしい多い髮を...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...この燃えるような美しい鹿の子絞りに引かれて...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...娘の扱帶(しごき)らしい紅鹿の子の紐が一本...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...鹿の子絞りの襟に白い頤を埋めて――...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...桃色鹿の子の結綿島田の大柄すぎるほどの娘は...
長谷川時雨 「「郭子儀」異變」
...……鹿は鹿の子の『か』と読ませるつもりだそうだから...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...鹿の子のやうな花はシモツケ...
堀辰雄 「牧歌」
...「この鹿の子は旨さうだな...
牧野信一 「公園へ行く道」
...お久しうございます」と鼠鹿の子の手柄をかけた髷の頭を下げた...
矢田津世子 「神楽坂」
...鹿の子の群れあそぶ廣い/\馬醉木(あしび)の原は漸くあの可憐な白い花に別れやうとする頃である...
若山牧水 「樹木とその葉」
便利!手書き漢字入力検索