...ほんとうの名は鵙屋琴(もずやこと)...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...むかし鵙屋家の娘(むすめ)にしかじかの人があったはずですがその人のはというとしばらく考えていて「それならあれにありますのがそれかも分りませぬ」と東側の急な坂路になっている段々の上へ連れて行く...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...琴女は生涯(しょうがい)鵙屋姓(せい)を名のっていたけれども「門人」温井検校(けんぎょう)と事実上の夫婦(ふうふ)生活をいとなんでいたのでかく鵙屋家の墓地と離(はな)れたところへ別に一基を選んだのであろうか...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
......
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...私等よりも鳥の方がずっと大事にされていると云った○鵙屋(もずや)の家でも父の安左衛門が生存中は月々春琴の云うがままに仕送ったけれども父親が死んで兄が家督(かとく)を継いでからはそうそう云うなりにもならなかった...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...音曲指南(おんぎょくしなん)の看板にも鵙屋春琴の名の傍へ小さく温井(ぬくい)琴台の名を掲げていたが佐助の忠義と温順とはつとに近隣(きんりん)の同情を集め春琴時代よりかえって門下が賑(にぎ)わっていた滑稽(こっけい)な事は佐助が弟子に教えている間春琴は独り奥の間にいて鶯(うぐいす)の啼く音などに聞き惚(ほ)れていたが...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...鵙啼く...
断膓亭日記巻之四大正九年歳次庚申 「断腸亭日乗」
...果敢(はか)ない雀(すゞめ)や頬白(ほゝじろ)の前(まへ)にのみ威力(ゐりよく)を逞(たくま)しくする鵙(もず)が小(ちひ)さな勝利者(しようりしや)の聲(こゑ)を放(はな)つてきい/\と際(きは)どく何處(どこ)かの木(き)の天邊(てつぺん)で鳴(な)いて居(ゐ)た...
長塚節 「土」
...一鵙(もず)の声が鋭くけたたましい...
牧野信一 「鬼涙村」
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正岡子規 「俳人蕪村」
...その肉声のなかには鵙(もず)のような啼き工合や...
室生犀星 「幻影の都市」
...帷子(かたびら)は日々にすさまじ鵙(もず)の声史邦(ふみくに)籾(もみ)一升を稲のこき賃(ちん)はせを蓼(たで)の穂に醤(ひしお)の黴(かび)をかき分けて岱水(たいすい)この一聯(れん)のつけあいの意味は...
柳田国男 「木綿以前の事」
...いつも鵙が来る木のてっぺんに立てかけて置きました...
夢野久作 「鵙征伐」
...「キイキイキイ……キキキキキ……」その鵙(もず)さながらの声は月夜の建物と...
夢野久作 「笑う唖女」
...鵙(もず)の啼きぬいている秋の日だった...
吉川英治 「黒田如水」
...朝夕は城中の冬木立へ群れる鵙(もず)だの雀だのという小禽(ことり)が...
吉川英治 「新書太閤記」
...あの鵙(もず)の画にもある気がある...
吉川英治 「随筆 宮本武蔵」
...鵙(もず)は低く飛び...
吉川英治 「宮本武蔵」
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