...私が今年の秋初めて鵙の鳴声を聴いたのは...
薄田泣菫 「独楽園」
...鷦鷯は鵙におくれて...
薄田泣菫 「独楽園」
...墓石の表面に法名を記し裏面に俗名鵙屋琴...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...伝によると「春琴の家は代々鵙屋安左衛門(やすざえもん)を称し...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...鵙屋の御寮人は訝(いぶか)しみながらもその時は大して気にも止めず寝てしまったがその後二三度も夜中起き出(い)でるごとに耳についたことがありそう云えば私も聞きましたどこで弾いているのでござりましょう...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...当時佐助は五つ六つの曲をどうやらこなすまでに仕上げていたので知っているだけを皆やってみよと云われるままに度胸を据(す)えて精限り根限り弾いた「黒髪(くろかみ)」のようなやさしいものや「茶音頭」のような難曲や素(もと)より何の順序もなく聞き噛(かじ)りで習ったのであるからいろいろのものを不規則に覚えていたのである鵙屋の家族は佐助が邪推(じゃすい)したように笑い草にする積りであったかも知れないが...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
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谷崎潤一郎 「春琴抄」
...鵙(もず)の鳴音(なきごえ)がけたたましく聞える...
田山花袋 「蒲団」
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内藤鳴雪 「鳴雪句集」
...鵙啼く...
断膓亭日記巻之四大正九年歳次庚申 「断腸亭日乗」
...何やら知らぬ小禽(ことり)の囀(さえず)りは秋晴の旦(あした)に聞く鵙(もず)よりも一層勢が好い...
永井荷風 「つゆのあとさき」
...果敢(はか)ない雀(すゞめ)や頬白(ほゝじろ)の前(まへ)にのみ威力(ゐりよく)を逞(たくま)しくする鵙(もず)が小(ちひ)さな勝利者(しようりしや)の聲(こゑ)を放(はな)つてきい/\と際(きは)どく何處(どこ)かの木(き)の天邊(てつぺん)で鳴(な)いて居(ゐ)た...
長塚節 「土」
...心爲に動き即愚詠八首を以て之に答ふ(其六首を録す)津の國のはたてもよぎて往きし時播磨の海に君を追ひがてき淡路のや松尾が崎もふみ見ねば飾磨の海の家島も見ず飾磨の海よろふ群島つゝみある人にはよけむ君が家島冬の田に落穗を求め鴛鴦の來て遊ぶちふ家島なづかし家島はあやにこほしもわが郷は梢の鵙も人の獲るさとことしゆきて二たびゆかむ播磨路や家島見むはいつの日にあらむ女あり幼にして母を失ひ外戚の老婦の家に生長せり...
長塚節 「長塚節歌集 中」
...鵙の声が谿をわたつてこだまするおもむきなど...
牧野信一 「風流旅行」
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三好達治 「短歌集 日まはり」
...是(これ)を鵙(もず)の速贄(はやにえ)とは云ふなり...
柳田國男 「野草雑記・野鳥雑記」
...かわいそうにお父さん蛙は鵙(もず)に捕えられて茅(かや)の刈り株に突き刺されて日干になって死んでいました...
夢野久作 「鵙征伐」
...私は幅を下へ展(ひら)いて来ながらあの枯木と鵙の水墨にまったく恍惚と魅せられてしまった...
吉川英治 「随筆 宮本武蔵」
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