...細長い而かも鬱陶しい谷のやうなところだ...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...正面に見える富士が滅多に見えないほど鬱陶しい日が續く...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...鬱陶しいほど両側から梢の蔽い重なった暗闇阪(くらやみざか)を降り尽して...
寺田寅彦 「やもり物語」
...其処に立つて居る一簇の老松の梢には夕方になれば鴉が四方から聚つて鬱陶しい雨に打たれながら騒ぐ...
長塚節 「隣室の客」
...淋しいとか鬱陶しいとか言い条...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...鬱陶しい心持で神田へ引揚げて居りました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...ああ 過去の私の鬱陶しい瞑想から 環境からどうしてけふの情感をひるがへさうかつてなにものすら失つてゐない人生においてすら...
萩原朔太郎 「青猫」
...すべての鬱陶しい氣分を開放した...
萩原朔太郎 「宿命」
...毎夜母が添臥せするような鬱陶しい所為をしてみせなかったら...
久生十蘭 「うすゆき抄」
...そうまで凝滞(ぎょうたい)する俺を鬱陶しいとも思わず...
久生十蘭 「湖畔」
...真名古のこの鬱陶しい態度にさすがの総監も業をにやし...
久生十蘭 「魔都」
...鬱陶しい雨模様であった...
火野葦平 「花と龍」
...私はそんな鬱陶しいお天気をかえって好いことにしていた...
堀辰雄 「楡の家」
...その鬱陶しい枝々をつたわって...
正岡容 「寄席」
...『鬱陶しいお天氣ですねえ...
水野仙子 「四十餘日」
...鬱陶しい石壁の穴だ...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...低い家の鬱陶しい間から出たり...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...私は何だか寂しい鬱陶しい氣持を抱きながら上京の途についたのであつた...
若山牧水 「樹木とその葉」
便利!手書き漢字入力検索
この漢字は何でしょう??