...春三郎は病院の冷たい鬱陶しい心持と比べてこの家庭の平和な暖かな味に醉ふやうに覺えた...
高濱虚子 「續俳諧師」
...東塔をめぐる五つの谷には山桜が咲き乱れて、四十六坊をつゝむ青葉若葉に、梵鐘の響きが蒸されるような、鬱陶しい、ものうい陽気が続いた...
谷崎潤一郎 「二人の稚児」
...鬱陶しいほど両側から梢の蔽い重なった暗闇阪(くらやみざか)を降り尽して...
寺田寅彦 「やもり物語」
...鬱陶しいこの古家の改築に見切りをつけて...
徳田秋聲 「余震の一夜」
...この鬱陶しい狹い部屋が...
アネッテ・フォン・ドロステ=ヒュルスホフ Annette von Droste=Hulshoff 番匠谷英一訳 「ユダヤ人のブナの木」
...「鬱陶しい御天気ぢやありませんか」と愛想よく自分で茶を汲んで呉れた...
夏目漱石 「それから」
...鬱陶しい心持で神田へ引揚げて居りました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...ああ 過去の私の鬱陶しい瞑想から 環境からどうしてけふの情感をひるがへさうかつてなにものすら失つてゐない...
萩原朔太郎 「定本青猫」
...毎夜母が添臥せするような鬱陶しい所為をしてみせなかったら...
久生十蘭 「うすゆき抄」
...真名古のこの鬱陶しい態度にさすがの総監も業をにやし...
久生十蘭 「魔都」
...鬱陶しい雨模様であった...
火野葦平 「花と龍」
...絶対に抗し難い奇妙に重く鬱陶しい...
牧野信一 「女に臆病な男」
...私は云つて鬱陶しい顔をした...
牧野信一 「環魚洞風景」
......
三好達治 「駱駝の瘤にまたがつて」
...鬱陶しい下水道にひとしい処であった...
室生犀星 「われはうたえども やぶれかぶれ」
...鬱陶しい石壁の穴だ...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...鬱陶しいもの思いにとらわれていると...
山本周五郎 「花も刀も」
...おせんはそうして鬱陶しいもの思いにとらわれていた...
山本周五郎 「柳橋物語」
便利!手書き漢字入力検索
この漢字は何でしょう??