...これは半面に自分の不得意な音曲でさえこのくらいに出来るという風に聞え彼女の驕慢な一端(いったん)が窺(うかが)われるがこの言葉なども多少検校の修飾(しゅうしょく)が加わっていはしないか少くとも彼女が一時の感情に任せて発した言葉を有難く肝(きも)に銘(めい)じて聴き...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...何をか彼れの大醇と謂ふや、惡を憎み、冷血を忌むこと人に過ぎ、之れを攻撃するに於て、一歩も借さゞるの熱誠是れなり何をか彼れの美質と謂ふや、常に弱者の味方となりて、驕慢なるもの、權力あるものに抵抗するの侠骨是れなり、彼れが故後藤伯と事毎に衝突したりしも此れが爲めにして、伯曾て彼れの強頂を患へ、切りに辭を卑うして彼を招がむとしたるも、彼は啻に伯に屈致せざりしのみならず、益々伯の失徳を追窮して毫も憚る所なかりき余は彼れが果して後藤伯の人物を正解し得たりしや否やを知らず又彼れの後藤攻撃論は、果して精確なる事實に根據したりしや否を知ること能はずされど彼れの眼中に映じたる後藤伯は、老獪にして野心深く、私利私福を貪りて正義の觀念なき奸雄なりしに似たり則ち彼は後藤伯を認めて奸雄の偶像と認めたるが故に、之れを攻撃したるのみ...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...何をか彼れの大醇と謂ふや、悪を憎み、冷血を忌むこと人に過ぎ、之れを攻撃するに於て、一歩も借さゞるの熱誠是れなり何をか彼れの美質と謂ふや、常に弱者の味方となりて、驕慢なるもの、権力あるものに抵抗するの侠骨是れなり、彼れが故後藤伯と事毎に衝突したりしも此れが為めにして、伯曾て彼れの強頂を患へ、切りに辞を卑うして彼を招がむとしたるも、彼は啻に伯に屈致せざりしのみならず、益々伯の失徳を追窮して毫も憚る所なかりき余は彼れが果して後藤伯の人物を正解し得たりしや否やを知らず又彼れの後藤攻撃論は、果して精確なる事実に根拠したりしや否を知ること能はずされど彼れの眼中に映じたる後藤伯は、老獪にして野心深く、私利私福を貪りて正義の観念なき奸雄なりしに似たり則ち彼は後藤伯を認めて奸雄の偶像と認めたるが故に、之れを攻撃したるのみ...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...驕慢な純潔の熱情...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...文化や芸術の驕慢など...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...驕慢な三馬が絵に差し出口をきくので懲らしてやれと思ったのである...
林不忘 「仇討たれ戯作」
...驕慢な眼つきで甲斐守の顔を見かえした...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...驕慢な眼ざしで甲斐守の眼を見かえし...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...驕慢なるこの世の神々……将軍や提督どもに刃むかいながら...
久生十蘭 「だいこん」
...そんな人なんかあの人には似合はないのに……それは少女らしい驕慢な論理だつた...
堀辰雄 「聖家族」
...神と偕にある事によって始めて人の驕慢なる時に悲しみ...
矢内原忠雄 「帝大聖書研究会終講の辞」
...そして何處か驕慢な...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
...装備を誇る驕慢な大軍は...
吉川英治 「三国志」
...驕慢な揶揄(やゆ)である...
吉川英治 「私本太平記」
...馳せ向ってきた驕慢な兵でもある...
吉川英治 「私本太平記」
...驕慢な瘋癲(ふうてん)の君が...
吉川英治 「私本太平記」
...朝暮(ちょうぼ)の自戒鍛錬(たんれん)は一通りでないとも聞き及びました」「驕慢な天才と...
吉川英治 「宮本武蔵」
...ともすれば驕慢な私の心は...
吉田絃二郎 「沈黙の扉」
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