...余之を見て思へらく眼を悦ばす美麗なる色素や嗅覚を楽ましむる馥郁たる香料は化学工業によりて数多く製造されつゝあれども味覚に訴ふる製品はサッカリンの如き恠し気なる甘味料を除きては殆んど稀なり...
池田菊苗 「「味の素」発明の動機」
...馥郁(ふくいく)たる匂(におい)とでもいいたい香(かおり)が其(そ)の辺にすることだった...
海野十三 「西湖の屍人」
...枯木の梢(こずえ)に清香馥郁(ふくいく)たる白い花をつける...
高浜虚子 「俳句とはどんなものか」
...馥々タル異香野外ニ熏ジ...
谷崎潤一郎 「覚海上人天狗になる事」
...馥郁たる濃艶な花はおろか...
豊島与志雄 「砂漠の情熱」
...丁度寒冷をおかして馥郁たる花をひらいた黄水仙を見るようであるが...
アネッテ・フォン・ドロステ=ヒュルスホフ Annette von Droste=Hulshoff 番匠谷英一訳 「ユダヤ人のブナの木」
...馥郁(ふくいく)たる若い娘...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...あの新鮮で清潔で馥郁(ふくいく)たる魅力の持主――お夏に興味を持つてゐることは事實で...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...八五郎は馥郁(ふくいく)たる年増に抱きつかれてしまひました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...馥郁(ふくいく)として處女(むすめ)らしい花やかなものが匂つたのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...馥郁(ふくいく)と香を(た)くというおさまりかたなので...
長谷川時雨 「鉄くそぶとり」
...一種の馥郁(ふくいく)たる香気を帯びていることであった...
ホーソーン Nathaniel Hawthorne 岡本綺堂訳 「世界怪談名作集」
...そこに馥郁とオペラの花々はひらいた...
正岡容 「大正東京錦絵」
...」その中に大きな百合が家の周囲(しうゐ)で馥郁(ふくいく)とにほひ出した...
横光利一 「美しい家」
...」は底本では「だった」]韓馥も...
吉川英治 「三国志」
...馥郁(ふくいく)たる伽羅(きゃら)のにおいが全身に沁(し)みとおった...
吉川英治 「新書太閤記」
...馥郁(ふくいく)といってもよい香気が自分に近づいている思いだった...
吉川英治 「新・水滸伝」
...丘(おか)あり池泉(ちせん)あり馥郁(ふくいく)と咲く花あり...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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