...道の両側に熟した麦は香ばしい匂を放つてゐた...
芥川龍之介 「或阿呆の一生」
...あたたかい飯から立騰る水蒸氣と天ぷらの香ばしいにほひとが柔かに予の顏を撫でた...
石川啄木 「A LETTER FROM PRISON」
...またもろこしの香ばしいにほひがしてゐる限り...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...薬味には細い香ばしいネギが...
梅崎春生 「狂い凧」
...ここの二階で毎朝寝巻のままで窓前にそびゆるガスアンシュタルトの円塔をながめながら婢(ひ)のヘルミーナの持って来る熱いコーヒーを飲み香ばしいシュニッペルをかじった...
寺田寅彦 「コーヒー哲学序説」
...壁に接してる一本のアカシアがその香ばしい枝を隣りの庭の上にたれていた...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...香ばしい緑の匂いを何処からか吹き送ってきた...
豊島与志雄 「白日夢」
...彼女の香ばしい息吹きが...
豊島与志雄 「未来の天才」
...そして香ばしい息は...
野村胡堂 「焔の中に歌う」
...香ばしいお茶を啜(すす)り乍ら...
野村胡堂 「笑う悪魔」
...香ばしい匂ひがした...
林芙美子 「下町」
...暗い中に香ばしい果物のにおいが立ちこめている...
火野葦平 「花と龍」
...……そのうち非常に香ばしい...
三好十郎 「樹氷」
...なにかの煮える香ばしい匂いが...
山本周五郎 「橋の下」
...新しい香ばしい空気がながれ漲(みなぎ)るように思えた...
山本周五郎 「はたし状」
...脂肪の乗った川魚の焼ける香ばしい匂いが...
山本周五郎 「風流太平記」
...香ばしい煙があふれてい...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...香ばしい乾草置場へよじ登っていく者もある...
神西清訳 「ムツェンスク郡のマクベス夫人」
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