...香ばしい新麦のにほひは眼にも泌むやうでした...
薄田泣菫 「小壺狩」
...香ばしい茶をすする...
種田山頭火 「私の生活(二)」
...私は靜かな心持ちになつて香ばしい番茶を啜つてゐると...
近松秋江 「箱根の山々」
...焦げた百合の香ばしいにおいや味も思い出したが...
寺田寅彦 「球根」
...五年間父親から無視された小さな存在、眼の大きいお河童さんの子、膝を揃えてお辞儀をした子、はにかんで畳につっ伏した子、言葉の上品なおとなしい子、……その上種々のものが眼に見えてきた、小さな手、貝殼のような爪、柔い頬、香ばしい息、真白い細かい歯並、澄んだ真黒な瞳...
豊島与志雄 「子を奪う」
...香ばしい臨終の息をたてる少数の詩句が...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...彼女の香ばしい息吹きが...
豊島与志雄 「未来の天才」
...早春の香ばしい風が生暖かく吹いて來ますが...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...そして香ばしい息は...
野村胡堂 「焔の中に歌う」
...香ばしい美女の魅力は...
野村胡堂 「焔の中に歌う」
...香ばしい山の匂いがする...
林芙美子 「新版 放浪記」
...あまり香ばしい手の内でもないが...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 後篇」
...殊にこの香ばしい涼しい匂いは酸液から来る匂いであるから...
正岡子規 「くだもの」
...……そのうち非常に香ばしい...
三好十郎 「樹氷」
...僕を救い出してくれたまえ』って」ジェム・ベンスンは香ばしい煙を空中にふうっと吐き出してから...
W・W・ジェイコブズ 森郁夫訳 「井戸」
...鍋の中から湯気があがり、香ばしい匂いが、あたりにひろがった...
山本周五郎 「橋の下」
...新しい香ばしい空気がながれ漲(みなぎ)るように思えた...
山本周五郎 「はたし状」
...香ばしい煙があふれてい...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
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