...道の両側に熟した麦は香ばしい匂を放つてゐた...
芥川龍之介 「或阿呆の一生」
...「にほひの香ばしい割合に...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...お勝手で煮る香ばしいおせちの臭(にお)いが入口の方まで臭うている...
近松秋江 「うつり香」
...階下(した)で老婢(ばあさん)が慈姑(くわい)を煮る香ばしい臭いをききながら...
近松秋江 「うつり香」
...私は靜かな心持ちになつて香ばしい番茶を啜つてゐると...
近松秋江 「箱根の山々」
...思想の花園の香ばしい空気を平和に呼吸しようよ...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...壁に接してる一本のアカシアがその香ばしい枝を隣りの庭の上にたれていた...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...それぢやこの世の中は闇ぢやありませんか」頬に通ふ香ばしい息...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...美しくも香ばしい顏です...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...そして香ばしい息は...
野村胡堂 「焔の中に歌う」
...コオヒイの香ばしい匂ひが二階までのぼつて来た...
林芙美子 「浮雲」
...つい一週間前まではその香ばしい泡(mousse)が逆卷いてゐた(dferlait)それ等の葉の多くの茂みの中では...
堀辰雄 「プルウストの文體について」
...香ばしい夏の夕べの静けさの中を散歩していた二人は...
W・W・ジェイコブズ 森郁夫訳 「井戸」
...外の香ばしい大気の中へ歩み出た...
W・W・ジェイコブズ 森郁夫訳 「井戸」
...酸いケチャップ・ソースや香ばしいパンの匂いやらのなまあたたかく漂うキッチンの網戸の前を通り...
山川方夫 「その一年」
...脱穀する籾の香ばしいかおりとがまじり合って...
山本周五郎 「日本婦道記」
...香ばしい匂いのする蜜を...
山本周五郎 「山彦乙女」
...たけ高い香ばしい草が茂つてゐた...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
便利!手書き漢字入力検索