...ちょいと、風邪を引くよ、と先刻(さっき)から、隣座敷の机に恁(よ)っかかって絵を描(か)きながら、低声(こごえ)で気をつけたその大揺れの船が、この時、最早や見事な難船...
泉鏡花 「婦系図」
...こんなとこに立っていては風邪を引くからね」「イヤ課長さん...
海野十三 「流線間諜」
...私は誰よりも先きに風邪を引くだらうと思つてゐたのです...
薄田泣菫 「茶話」
...風邪を引くよ」新一は叱るように云った...
田中貢太郎 「狐の手帳」
...そんな処へ寝ちゃ風邪を引くぜ」お滝の大きな声が其処から聞えて来た...
田中貢太郎 「狐の手帳」
...苫を立てんと風邪を引く」「良(い)いよ...
田中貢太郎 「参宮がえり」
...冬は殊に風邪を引く憂いがあることだけれども...
谷崎潤一郎 「陰翳礼讃」
...これは精神的の御馳走を喰い過ぎたために風邪を引くのだと...
寺田寅彦 「変った話」
...その揚句(あげく)にふいと風邪を引くというような経験がどうも実際に多いような気がして来たのである...
寺田寅彦 「変った話」
...私は直ぐに風邪を引く...
中島敦 「光と風と夢」
...風邪を引くと、どなたでも御咳(おせき)が出ますからね……」天璋院様の何とかの何とかの下女だけに馬鹿叮嚀(ていねい)な言葉を使う...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...「あるとも、風邪を引くと、ツイ咽喉(のど)を悪くするが――」何という平次のさり気なさ――「その声じゃありませんよ、恋患(こいわずら)いの恋で、小唄の文句にもあるじゃありませんか」「馬鹿野郎ッ」「ヘッ」「恥を掻かせまいと思って、いい加減にあしらって置くのに、何んて言い草だ、俺は恋患いをする柄(がら)か柄でないか、考えて見ろ」「へエ、そうですかね――あっしのような呑気(のんき)な人間でさえ、思い詰めると、鼻風邪を引いた位の心持になるんだが」「呆(あき)れた野郎だ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...人々は不用意に風邪を引く...
林芙美子 「新版 放浪記」
...そんなところに愚図愚図(ぐずぐず)しているとまた風邪を引くよ」と...
久生十蘭 「ノンシャラン道中記」
...ソンナ事をすると風邪を引くと云(いっ)て...
福澤諭吉 「福翁自伝」
...風邪を引くよ...
夢野久作 「鉄鎚」
...この寒いのに風邪を引くぞ」湊屋は頬冠(ほおかむり)を取って手を振った...
夢野久作 「近世快人伝」
...母が風邪を引くと云って無理に止めた...
夢野久作 「父杉山茂丸を語る」
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