...その頃の富田木歩の句に冬田越しに巷つくれる灯かなといふのがある...
心猿 「荷風翁の發句」
...かれこれ三時間もたった頃博士はまず眼を醒しほかの者を揺り起した...
江見水蔭 「月世界跋渉記」
...ちやうど無くなつたと思つた頃に...
太宰治 「津軽」
...前の大雀というのを吹き終った頃に...
中里介山 「大菩薩峠」
...斯ういふ教師が其頃まだ世間に存在して居たといふのは不審に思はれるやうであるが...
長塚節 「隣室の客」
...近頃は戦さの噂(うわさ)さえ頻(しき)りである...
夏目漱石 「幻影の盾」
...年頃になった娘の浪江...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...江戸にその頃、表向き切支丹宗徒はなかったわけですが、原主水(もんど)以来の熱心な信者が、刑戮(けいりく)に洩れて、地下に潜み、あるいは転び切支丹となって、ひそかに邪宗門帰依を続けていたことは充分想像されることで、ガラッ八がこう言った言葉も決して好い加減な出鱈目(でたらめ)ではなかったのです...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...露子は彼から感染(うつ)されて居た病気がこの頃可也進んで行った...
原民喜 「淡雪」
...柏軒は其頃からわたくし共の夥(なかま)にはいつた...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...しかもその頃は個人主義勃興の時代である...
柳宗悦 「工藝の道」
...近頃はそれを省略して...
柳田国男 「年中行事覚書」
...まことにとんでもないと思う頃...
横光利一 「馬車」
...それにまた先頃、北平(ほくへい)の公孫(こうそんさん)を亡ぼして、一躍領土は拡大されている...
吉川英治 「三国志」
...その頃すでに、剣と十手術で竹山城に奉公したものとすると、武蔵の血は、家すじの剣人であったといえる...
吉川英治 「随筆 宮本武蔵」
...いずれ今頃ウロついてくる客は...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...百杯もかぶつた頃...
若山牧水 「みなかみ紀行」
...その頃から倭寇は再び猖獗になった...
和辻哲郎 「鎖国」
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