...蛙の鳴く頃ではなし...
泉鏡花 「遺稿」
...しきりに往来(ゆきき)があったその頃しばらくの間は...
泉鏡花 「婦系図」
...と云ふのは、この頃、大黒座で打つてゐる役者一座の一人が、さうたび/\、後家(ごけ)さんや娘に買はれに來るのだと思はれては、迷惑だからであつた...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...その頃鴎外の処へ出掛けたのは大抵九時から十時...
内田魯庵 「鴎外博士の追憶」
...そうしていよいよ寝込む頃にはもうだいぶ病気は亢進(こうしん)して危険に接近しているであろう...
寺田寅彦 「変った話」
...」戦争中兵隊に行って来た頑丈な兄と、どこか、神経質な蒼白い利光さんとは、似合わない取合せだが、同じ年頃で、元から仲はよかった...
豊島与志雄 「窓にさす影」
...ひとつ探りを入れてみましょう」手頃の石を拾って谷底へ投げ落すと...
中里介山 「大菩薩峠」
...手前涙の味を知つてるかい」「近頃はトンと泣かねえが...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...で、九時頃、生駒・山野・サトウ・斎藤と横尾も共に、築地金竜へ行き、梅島昇の気焔をきく...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...いつの頃からか私をさう称んでゐた...
牧野信一 「悪筆」
...この頃、自分の心持を考えてみても、そういう対立は間違っていて、ロマンティシズムはリアルなものの見とおしから来る一つの美感である筈であり、丁度岩波新書の『北極飛行』に飛行士の描いた極めてリアルな推定に立脚しての推測の美のロマンティシズムである筈であり、未来が語られるという性格でロマンティックである筈だと思います...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...八歳の頃すでに神童といわれたくらい...
山本笑月 「明治世相百話」
...この俺だってこの頃は危いからね...
横光利一 「上海」
...私は字が読める頃になると「無常」の風とは「無情」の風にちがひないと思ひ出した...
横光利一 「無常の風」
...その頃になると夜が始まるんだ...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
...戌亥の頃を計って」「張遼(ちょうりょう)と侯成(こうせい)を呼べ」呂布も...
吉川英治 「三国志」
...信長の君寵(くんちょう)浅からぬ頃において...
吉川英治 「新書太閤記」
...夜の白々と明けた頃には...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
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