...彼等は静かに行長のいる翠金の帳へ近づこうとした...
芥川龍之介 「金将軍」
...ジナイーダの顔が眼の前の闇(やみ)の中を静かに漂(ただよ)っていた――漂ってはいたが...
ツルゲーネフ 神西清訳 「はつ恋」
...これで都会に入り込んでいる「田舎の人」がいなければどんなに静かな事であろう...
寺田寅彦 「田園雑感」
...物静かに待遇(あしら)っていた...
徳田秋声 「あらくれ」
...空がぼんやり曇った静かな夜で...
豊島与志雄 「都会の幽気」
...」とマドレーヌ氏はなだめるような静かな調子で言った...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...この間も、御目通りをして、『三兵答古知幾(さんぺいとうこちき)』を拝借して退って来ると、御座敷番の貴島太郎兵衛が、何を持っているか――突きつけてやると、又、重豪公の二の舞を、何故、貴公達諫めんかと、こうじゃ」「斉彬公を外国方にしようとする幕府の方針を、彼奴らは、木曾川治水で、金を費わされたのと同じに見ている、調所さえ、そうじゃものなあ」小太郎は、顔を、心もち赤くして、静かにいった...
直木三十五 「南国太平記」
...何だってこんな所へ入って来たんだ」平次は静かに訊きました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...戸締りの音蚊帳を釣り寝に就く午後十一時より十二時迄枕もとの時計の音のみ聞えて天地は極めて静かな...
正岡子規 「夏の夜の音」
...静かな反省と悔いのためというに近かった...
山本周五郎 「赤ひげ診療譚」
...木戸へ来た」と彼は静かに続けた...
山本周五郎 「その木戸を通って」
...静かにその涙を拭いてやった...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...その文句も父(とと)様母(かか)様が言い聞かせたか」延寿国資を静かに傍(かたわら)に差し置いた昌秋は...
夢野久作 「名君忠之」
...静かに索(さく)を握(にぎ)つて二度引いた...
與謝野寛 「梅原良三郎氏のモンマルトルの画室」
...東京にも見られない程静かな清清(せいせい)した処(ところ)だとは自分も来る迄は想像しなかつたのである...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
...じつに静か」「ふしぎです...
吉川英治 「私本太平記」
...「頂戴いたします」村重は静かにすすんで...
吉川英治 「新書太閤記」
...杖をついてその古びて静かな町を離れる事になった...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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