...霽れた夜には大砲の樣な望遠鏡で星の世界を研究する...
石川啄木 「葬列」
...黄昏時(たそがれどき)の雨の霽間(はれま)を源助の後に跟(つ)いて行つたが...
石川啄木 「天鵞絨」
...廿九日、庚辰、霽、相模次郎朝時主、駿河国より参上す、将軍家の御気色並びに厳閤の義絶にて、彼国に籠居するの処、御用心の間、飛脚を以て之を召さると云々...
太宰治 「右大臣実朝」
...ゆうゆうと汽船(ふね)がとほる波音の霽れてくるつく/\ぼうし九月三日六時まへに帰庵...
種田山頭火 「行乞記」
...釣瓶縄をすげかへる霽れるより風が出て遠く号外の鈴の音・裏山へしづかな陽が落ちてゆく・落ちる陽をまへにして虹の一すぢ三月十六日ぬくすぎたが...
種田山頭火 「其中日記」
...・風をおきあがる草の蛇いちご・鳴きつつ呑まれつつ蛙が蛇に・雨をたたへてあふるるにういて柿の花・霽れててふてふ二つとなり三つとなり・いつでも植ゑられる水田蛙なく・夏めいた空がはつきりとあふれる水『性慾といふもの』性慾といふものは怪物である...
種田山頭火 「其中日記」
...上州を出て熊谷辺に掛ります時には霽れまして...
徳富蘇峰 「弟を葬る」
...今までもやもやと立罩めていた霧が急に霽れて...
豊島与志雄 「或る男の手記」
...雨は霽れていた...
豊島与志雄 「生と死との記録」
...夜になって霽れた...
豊島与志雄 「二つの途」
...十日、火曜、快晴、寒からず、四時に目醒む、雨ざあ/\と降る、蛙鳴く、六時起床、けさだけ冷水浴やすみ、火鉢を擁して雜談、蛙のいま鳴くのは土中に在りて鳴くのだといふこと、鋸で鯰を捕るといふこと等、八時二十分發車、仙波兵庫といふ男が同室に乘込んで居た、父舊知だ相だ、代議士になつたのでみんなが不思議にして居たのである、尤も二十三年このかた選擧のたび毎に候補に立たないことがなかつたさうだ、つまり根氣で成功したのだ、しかし人物が屑なので困る、雨がやんだ、空がはれかゝつた、笠間驛へつく、父はこゝに下車、叔父の家へ行くのである、自分は乘りつゞける、岩瀬で仙波は下りた、紫の褪めきつた風呂敷包と、破れた鞄とを持つて居た、夕方にやうやく家へついた、表の廣間に妹の仕立物がならべてある、かね/″\見たいと村の者がいつて居たので女房達を呼んで見せたのだ相だ、もう大勢かへつた趾(ママ)で三四人しか居なかつた、茶の間には茶碗や盃が狼藉として居る、一升も熬つた豆が忽ちに平げられたといふ話である、子供達が學校から歸つて見に來た、彦といふ七八つの兒が感に堪へたさまで二拾錢銀貨二つかけた位は出たらうといつたので大笑ひをした、庭の梅散りしきて白し、十一日、曇、泣き出しさうなり、郵便左千夫より、日本週報課題春雨の歌に就いて詳細の論である、……今出たのを見ると君のは意外に少ない……君のは四首や五首ではあるまい、外の歌はどんな歌か見せ給へ、例令人々考が異りたりとて半數以上を削るは削る方が無理か詠者が無理かお互に少し注意せねばならぬと思ふ、實際歌がよくないとすれば半數も削られるやうな歌を送るは選者を困らせること少なからず、同人間ではこの邊少し考へねばならぬ……これがその冒頭だが、自分の作つたのは二十首で入選の歌は四首、半數どころか五分の一のみ、これは作者の惡いのであつた、返事を書かとしたが筆が澁つたのでよす、かういふことはたび/\である、頭のわるいこと醉へるが如くである、午後、至急の郵便を出すため宗道へ行く、斬髮、夜に入りてかへる、甘酒を作るために焚いた飯へ餡をのせてくふ、卵のふわ/\、葱と鰌の汁、樒柑(ママ)の霜よけ、牡丹の霜よけ取拂ふ、梅やゝだらける、自分の座敷へ箪笥や長持を運び込まれたので急に狹くなつた、十二日、木曜、朝雨、忽ちにして霽、午後、妹の鏡臺に手入れする所があつたので杉山の建具屋へ行く、貧乏な淋しい店先で自分はかゞんだまゝ見て居ると建具屋が突然立つて勝手の戸をあけるや否やひどい叫び聲をした、火が一面に燃え揚つて居た...
長塚節 「十日間」
...夕方になるとよく霽(は)れて来る...
中谷宇吉郎 「由布院行」
...雨の霽れ間を縫つて蜩(ひぐらし)がよく鳴いた...
林芙美子 「摩周湖紀行」
...二三日つづいた雨が霽れると...
原民喜 「火の踵」
......
三好達治 「故郷の花」
...あははははは」こんな話をして霽波は帰った...
森鴎外 「ヰタ・セクスアリス」
...また霧のように霽れ上がって...
吉川英治 「剣難女難」
...「霽(は)れたぞ」「起きろ」其処此処の岩間の蔭や木蔭から這い出して...
吉川英治 「源頼朝」
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