...されど心の眼さときものは肉に倚(よ)らずして直(ただち)に愛の隠るる所を知るなり...
有島武郎 「クララの出家」
...隠るべき様(やう)もないので...
石川啄木 「鳥影」
...必ずしも紫陽花(あじさい)に鬼神隠るというではない...
泉鏡花 「おばけずきのいわれ少々と処女作」
...香やは隠るる路地の宵...
泉鏡花 「婦系図」
...見果てぬ雲に隠るるので...
泉鏡花 「海異記」
...輿論の暴戻(ぼうれい)から逃るべき道もなく隠るべき場所もない...
エンマ・ゴルドマン 伊藤野枝訳 「少数と多数」
...悉く家財を捨てて「セリオン」山に隠る...
高木敏雄 「比較神話学」
...かくして夕陽の峰に隠るる頃になれば...
中里介山 「大菩薩峠」
...月さえ闇(やみ)に隠るる宵(よい)を思え...
夏目漱石 「薤露行」
...乱を避くる領内の細民が隠るる場所もある...
夏目漱石 「幻影の盾」
......
原民喜 「かげろふ断章」
...些細(ささい)の余財もいたずらに嚢底(のうてい)に隠るることなく...
福沢諭吉 「旧藩情」
...蛇の魅力『塵塚(ちりづか)物語』は、天文二十一年作という、その内にいわく「ある人の曰く、およそ山中広野を過ぐるに、昼夜を分たず心得あるべし、人気罕(まれ)なる所で、天狗魔魅の類、あるいは蝮蛇を見付けたらば、逃げ隠るる時、必ず目を見合すべからず...
南方熊楠 「十二支考」
...羅史那(ラクシュマナ)と自分の妻私陀を伴い林中に隠る...
南方熊楠 「十二支考」
...「闇(やみ)はあやなし(梅の花色こそ見えね香やは隠るる)という時間にもあの方のにおいだけはだれにだってわかります」と言って薫をほめていた...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...木がらしの吹きにし山の麓(ふもと)には立ち隠るべき蔭(かげ)だにぞなきと言うと...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...暗に隠るる秘密の扉じゃ...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...あるいは工匠らを血の流るるまで打擲(ちょうちゃく)して山に隠るる皇子などの姿は...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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