...)隔てる、くずれかかった築土(ついじ)があって、その中に、盛りをすぎた合歓(ねむ)の木が二三本、こけの色の日に焼けた瓦(かわら)の上に、ほほけた、赤い花をたらしている...
芥川龍之介 「偸盗」
...見る人と役者とを隔てる何等機械的の工夫もない方が却つて仮面の役者たちをより奇怪なものに思はせるやうである...
ウイリヤム・バトラ・イエーツ 松村みね子訳 「鷹の井戸(一幕)」
...それを政夫さん隔てるの嫌になったろうのと云うんだもの...
伊藤左千夫 「野菊の墓」
...そして何も彫つてない活字で一字一字の間を隔てる...
アンリイ・ファブル Jean-Henri Fabre 大杉栄、伊藤野枝訳 「科学の不思議」
...そうして何の隔てるものもなく...
江戸川乱歩 「悪魔の紋章」
...自分みずからを一枚の画布によって隔てる...
中井正一 「芸術の人間学的考察」
...李陵は己(おのれ)と友とを隔てる根本的なものにぶつかっていやでも己(おのれ)自身に対する暗い懐疑に追いやられざるをえないのである...
中島敦 「李陵」
...生死境を隔てると...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...かくて根源的空間性即ち自と他とを隔てる外面性は全く克服されるやうに見える...
波多野精一 「時と永遠」
...左手に側廊(アイル)を隔てる円柱の列が高い穹窿天井(ヴウト)を支え...
久生十蘭 「ハムレット」
...二部屋隔てゝゐたにも拘らず私は一語々々聞きとつた――西印度(にしインド)の家屋の薄い仕切(しきり)は彼女の狼のやうな叫び聲を隔てるのにほんの僅かしか役に立たなかつたのです...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...ヒトと貧乏人を隔てる湾のかけ橋だったりする...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「玉手箱」
...そこで服薬の時間は少くも八時間を隔てるといふ規定によると...
正岡子規 「病牀六尺」
...または各十年を隔てるこれらの時期が正しい平均を表わさないか...
トマス・ロバト・マルサス Thomas Robert Malthus 吉田秀夫訳 「人口論」
...はるかに雲が隔てるというほどの山でもないのですから...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...隔てる相手を踏み破って...
吉川英治 「宮本武蔵」
...それらを分け隔てる地平線が見えなくなってしまうからだ...
H. P. ラヴクラフト H.P.Lovecraft The Creative CAT 訳 「狂気の山脈にて」
...彼我を隔てる巨大な地質学的時代に妨げられることはなかった...
H. P. ラヴクラフト H.P.Lovecraft The Creative CAT 訳 「狂気の山脈にて」
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