...)隔てる、くずれかかった築土(ついじ)があって、その中に、盛りをすぎた合歓(ねむ)の木が二三本、こけの色の日に焼けた瓦(かわら)の上に、ほほけた、赤い花をたらしている...
芥川龍之介 「偸盗」
...あまりに遠く隔てると互いに呼びかわすその声が...
有島武郎 「フランセスの顔」
...それを政夫さん隔てるの嫌になったろうのと云うんだもの...
伊藤左千夫 「野菊の墓」
...われわれと天の星とのあいだに何の隔てるものもなくすごすとしたら善いだろうに――もし詩人が屋根の下でそんなに喋々(ちょうちょう)し...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...パリを西北に百粁(キロメートル)ほど隔てるエヴルー(Evreux)の町に...
レオン・ワルラス Leon Walras 手塚壽郎訳 「純粋経済学要論」
...彼と彼の恋人たる彼女とを隔てるものでもあったのである...
豊島与志雄 「塩花」
...でも彼は自分とハスレルとを隔てる人々の着物や足の間に...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...もう何も間を隔てる物がない時になって...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...両者を隔てる年月がいかに短いかを知っている...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...外の電車通りと運動場とを隔てる囲いには...
中島敦 「プウルの傍で」
...運命は一重の壁に思う人を終古(しゅうこ)に隔てると共に...
夏目漱石 「虞美人草」
...迫って来るガラッ八を押し隔てるように...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...事務室と中央階段とを隔てる廊下をKが通ると...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「審判」
...また世の中から隔てる防壁のやうでもなかつた...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...二部屋隔てゝゐたにも拘らず私は一語々々聞きとつた――西印度(にしインド)の家屋の薄い仕切(しきり)は彼女の狼のやうな叫び聲を隔てるのにほんの僅かしか役に立たなかつたのです...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...水を隔てる真ッ正面に対面してしまった...
正岡容 「圓朝花火」
...「月影は見し世の秋に変はらねど隔つる霧のつらくもあるかな霞(かすみ)が花を隔てる作用にも人の心が現われるとか昔の歌にもあったようでございます」などと源氏は言った...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...その三之丞とわかれて峠を隔てると...
吉川英治 「宮本武蔵」
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