...暗い「陰翳」の中に、ひとつの影が浮かび上がった...
...絵画に「陰翳」をつけることで、より立体的な表現ができる...
...彼女は「陰翳」のある場所にたたずんで、静かに周囲を見渡していた...
...この部屋には「陰翳」が多く、落ち着いた雰囲気が漂っている...
...この小説の中で、作者は「陰翳」の描写に力を注いでいる...
...智惠子の心には思ひもかけぬ怪しき陰翳(かげ)がさした...
石川啄木 「鳥影」
...淫猥(いんわい)とも云えば云えるような陰翳(いんえい)になって顔や襟頸(えりくび)や手頸などを隈取(くまど)っているのであった...
谷崎潤一郎 「細雪」
...月の前を横ぎる薄雲ほどの微(かす)かな陰翳(かげ)が美しい顔にかかり...
中島敦 「悟浄出世」
...何という崇高さだったろう! 下の方は氷河の陰翳(いんえい)の如く...
中島敦 「光と風と夢」
...不審(ふしん)に思(おも)つて躊躇(ちうちよ)して居(ゐ)ると突然(とつぜん)目(め)の前(まへ)に對岸(たいがん)の松林(まつばやし)の陰翳(かげ)から白(しろ)く光(ひか)つて居(ゐ)る水(みづ)の上(うへ)へ舳(へさき)が出(で)て船(ふね)が現(あら)はれた...
長塚節 「土」
...木(こ)の葉(は)が陰翳(かげ)を落(お)として呉(く)れぬ冬(ふゆ)の夜(よ)には覘(ねら)うて歩(ある)く彼等(かれら)は自分(じぶん)の羞耻心(しうちしん)を頭(あたま)から褞袍(どてら)で被(おほ)うて居(ゐ)る...
長塚節 「土」
...軈(やが)てそれが稍(やゝ)黄色味(きいろみ)を帶(お)びて來(き)て庭(には)の茂(しげ)つた柿(かき)の木(き)や栗(くり)の木(き)にほつかりと陰翳(かげ)を投(な)げた...
長塚節 「土」
...伴奏部との美しい調和や陰翳は味わいようは無い...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...思いがけない音色と陰翳(いんえい)とを捉えるのだ...
原口統三 「二十歳のエチュード」
...雲に漉(こ)された光の陰翳が...
久生十蘭 「白雪姫」
...相手の反応のなかから微妙な陰翳をとらえると...
久生十蘭 「蝶の絵」
...子供には告げることの出来ない複雑な愛憎の陰翳を勇気をもって突きつめて自身に究明することによって...
宮本百合子 「「或る女」についてのノート」
...鼻の下に和毛の微かな陰翳はごみっぽいような疲れたような感じに見える...
「海流」
...陰翳を味わう能力を増すといわれているありきたりな概括にまで思い及んだのであるが...
宮本百合子 「芸術が必要とする科学」
...雪の上の陰翳は、濃く匂うような藍紫の色である...
「今朝の雪」
...いささかの陰翳(かげ)もなく調和し 活力を増し箇性を のどかに 発育させる...
宮本百合子 「五月の空」
...もう幾十回となく手がけたこの寺院の陰翳を微笑のまま見上げていた...
横光利一 「旅愁」
...宮廷の秘めごとは源氏物語の陰翳(いんえい)のうちにささやかれ...
吉川英治 「随筆 新平家」
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