...陰惨な家全体の中でも殊(こと)に陰気くさく...
橘外男 「棚田裁判長の怪死」
...陰惨な点で世界的に有名な一廓がある...
谷譲次 「踊る地平線」
...陰惨な眼のようにあかあかとぎらついていたが...
ディッケンス Dickens 森田草平訳 「クリスマス・カロル」
...もっとも瘋癲病院(ふうてんびょういん)の中で酒精中毒の患者の狂乱する陰惨なはずの場面もありはするがいったいに目先の変わりの少ないある意味では退屈な映画である...
寺田寅彦 「映画雑感(3[#「3」はローマ数字、1-13-23])」
...近年の洋画界の一面に妙に陰惨などす黒いしかもその中に一種の美しさをもったものの影が拡がって来るのを覚えるのは私ばかりではあるまい...
寺田寅彦 「帝展を見ざるの記」
...この場合如何にも陰惨に見えた...
豊島与志雄 「群集」
...暗やみの陰惨な面が漠然(ばくぜん)と娘の上におおいかぶさっていた...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...まもなくこの陰惨不祥なる「墓穴」の地だけは完全に脱出すると...
中里介山 「大菩薩峠」
...南面もしくは西面はこの通りなだらかな美しい景色であるのに北側には怖るべき威圧と陰惨との面影があること...
中里介山 「山道」
...滅入ったような陰惨さ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...最も矮小で陰惨かぎりないものになるに相違ない...
原民喜 「壊滅の序曲」
...陰惨になる危険がある...
火野葦平 「花と龍」
...「社会の人間は病院をまるで陰惨な...
北條民雄 「道化芝居」
...昔のように陰惨な気持になることがなくなり...
三木清 「人生論ノート」
...めずらしく病的で陰惨な一人の男である主人公の一生を追究している...
宮本百合子 「あとがき(『宮本百合子選集』第二巻)」
...実に当時の殺伐で陰惨な社会状態そのものであったことを思わなければなるまい...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...いっそう陰惨な殺気さえおびている――一種異様な吠え方である...
吉川英治 「親鸞」
...それは全く不明であるけれども、この陰惨な、そして執拗な少年と、残虐な空気に、亢奮を見せる少女との間には、到底月並な終結は、望み得ないように思われる...
蘭郁二郎 「夢鬼」
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