...私の心には歩廊の陰惨な光景がまだうろついてゐたのに...
有島武郎 「骨」
...……――おい、木村さん、信さん寄っておいでよ、お寄りといったら寄っても宜(い)いではないか、また素通りで二葉屋へ行く気だろう――にはじまって、――ある雨の日のつれづれに表(おもて)を通る山高帽子の三十男、あれなりと取らずんば――と二十三の女にして、読書界に舌を巻かせた、あの、すなわちその、怪しからん……しかも梅雨時、陰惨としていた...
泉鏡花 「薄紅梅」
...この女ふたりが拳銃を構えて対峙(たいじ)した可憐陰惨...
太宰治 「女の決闘」
...犬は売ってくれたがその代り何ともいえぬ陰惨な印象を私の頭に刻み込んだ犬商フリオ・ベナビデスという人間の顔と姿とだけであった...
橘外男 「陰獣トリステサ」
...これほどまでに陰惨な家というものを...
橘外男 「棚田裁判長の怪死」
...この場の陰惨でしかもどこかつやけのある雰囲気(ふんいき)を濃厚にする...
寺田寅彦 「映画雑感(1[#「1」はローマ数字、1-13-21])」
...最も人道上陰惨な印象を与えるのだが...
戸坂潤 「現代日本の思想対立」
...それらの群集は陰惨な蜂(はち)の巣のように見えるのであろう...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...しだいに弱りゆくその陰惨な雷鳴のごとき響きを...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...各語にあるいは苦悩の姿を与えあるいは恐ろしい姿を与える陰惨な象徴的精神ですべて貫かれている...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...頭に浮かんでくるその陰惨な空洞(くうどう)中への墜落...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...涙を誘うような、煽情的なものではないまでも、世にも陰惨な、不愉快なものだったのです...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...この上もなく残虐(ざんぎゃく)で陰惨です...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...どうしても犯罪を犯すほかに人生の行き道がないという先天的に陰惨な運命を指し示されている犯罪者のアプリオリなのです...
久生十蘭 「ハムレット」
...終生陽の目も見えぬようなところに幽閉されてしまうのはあまりにも陰惨だ...
久生十蘭 「魔都」
...彼の頭には陰惨な人生の両極がまざまざと描かれた...
平林初之輔 「予審調書」
...陰惨な犯罪の国もある...
蘭郁二郎 「息を止める男」
...陰惨な音を聴くと...
蘭郁二郎 「夢鬼」
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