...」薄闇い片隅に向き直つて...
薄田泣菫 「西大寺の伎藝天女」
...その頭は闇い「忘却」のかなたに入っている...
薄田泣菫 「艸木虫魚」
...そこで燒栗を買つた義男はそれを食べながら崖の下り口に立つて海のやうに闇い三河島の方を眺めてゐた...
田村俊子 「木乃伊の口紅」
...闇い夜は、東京の空も横浜の空も、火光(あかり)が紅(あか)く空に反射して見える...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...豆ランプの薄闇い光が其燃えるやうな顏をてらして居る...
長塚節 「芋掘り」
...薄闇い方で女は僕の洋服を疊んで居るのであつた...
長塚節 「開業醫」
...破れた障子を開けて薄闇い店先を覗いた時せつせと刷毛を使つて居た兄といふのは怪訝な顏をして刷毛を持つた儘つく/″\とこちらを見た...
長塚節 「開業醫」
...三階は雨戸が立てきつた儘で闇い...
長塚節 「佐渡が島」
...闇さは闇いのに人越しだから何も分らないのだけれど騷いで居るやうな氣がするのである...
長塚節 「須磨明石」
...宿の女に案内されて闇い所へ這入つた時は妙な心持であつた...
長塚節 「炭燒のむすめ」
...竹藪をかぶった太十の家は内も一杯煤だらけで昼間も闇い程である...
長塚節 「太十と其犬」
...下流は兩岸相迫つて薄闇い...
長塚節 「旅の日記」
...闇いは闇いしなんちつても靜かだから屹度來なくつちやならねえ...
長塚節 「利根川の一夜」
...アーク燈の光を翳して見る闇い空は天鵞絨の如く滑かに見える...
長塚節 「菜の花」
...表の柱と柱との間にはおろし戸が一枚づゝ卸してあるのでなかは薄闇い...
長塚節 「菠薐草」
...それでも木立の間は薄闇い...
長塚節 「松蟲草」
...何だか闇い深い穴へでもはひるやうな気がして恐怖心が私を躊躇させた...
長塚節 「隣室の客」
...文さんが好きと云わないから宜いじゃ有りませんか」「その分疏(いいわけ)闇(くら)い闇い...
二葉亭四迷 「浮雲」
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