例文・使い方一覧でみる「関守」の意味


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...「もちろん女子供じゃない、常人以上に勇敢なる友造君なればこそ、お銀様もわざわざ君に両替の宰領を託したわけなんだが、もしやあの百姓一揆(いっき)の渦の中に捲き込まれるようなことになりはしないか、それを心配したものだから」「そんなこたあねえ」と米友が力(りき)むのを、お雪ちゃんが、「まあ、百姓一揆? 何か騒動が起ったのですか」「お雪ちゃん、あなたはまだ御存じないのですか、長浜在で代官を相手に農民共が一揆暴動を起してしまって、容易ならぬ事態に陥ったという風聞(うわさ)がここまで聞えたものだから、それでお銀様が心もとながって、そうして拙者に、友造君を迎えながら様子を見て来てくれと言われたものだから、早速単身で斥候(ものみ)に出かけてみたが、いや、事態は全く重大で、うっかり近づけない、そこで、ともかく近寄れる距離に近づいて、探れるだけの事情を探訪して、ようやくいま引返して来たところなんだがな、とりあえずここへ駈けつけて、外で様子をうかがっていると、友造君が無事に立戻ったことの確かなのを知り、ホッと安心したというわけなんです」「ははあ、そうか、それでわかった、誰か外に人がいるようだとそうは思っていたよ」と米友は、何か思い当るところあるものの如く、ひとり合点(がてん)の声を立てると、関守氏は、「そういうわけだから、まだお銀様にも復命していないのです、一刻も早くお館の方へ行って、お銀様にその事情を話して、明朝になってまたとって返して、こちらへやって来て委細をお話し申しましょう」と言って関守氏は、立てともしにして置いた提灯(ちょうちん)を取り上げて、また同じ口から閾(しきい)を跨(また)いだが、一休宗純(いっきゅうそうじゅん)から問答をでもしかけられたような形になり、片足は外へ出して、「ところで、さしあたり一つ心配なのは、その一揆暴動の崩れが、或いはこの辺へ押寄せて来ないとも限らない、胆吹山(いぶきやま)というところは昔から落人(おちうど)の本場なんだから――そこをひとつ、念のために用心をして置いて下さいよ、一時にそう潮(うしお)の押寄せるようにここまで押寄せて来るはずはなかろうけれども、一人二人、どちらのどんな奴が迷い込んで来ようとも知れぬ、戸締りをよくして置いて下されよ」こう言い置いて、外の闇の中に身を没しました...   「もちろん女子供じゃない、常人以上に勇敢なる友造君なればこそ、お銀様もわざわざ君に両替の宰領を託したわけなんだが、もしやあの百姓一揆の渦の中に捲き込まれるようなことになりはしないか、それを心配したものだから」「そんなこたあねえ」と米友が力むのを、お雪ちゃんが、「まあ、百姓一揆? 何か騒動が起ったのですか」「お雪ちゃん、あなたはまだ御存じないのですか、長浜在で代官を相手に農民共が一揆暴動を起してしまって、容易ならぬ事態に陥ったという風聞がここまで聞えたものだから、それでお銀様が心もとながって、そうして拙者に、友造君を迎えながら様子を見て来てくれと言われたものだから、早速単身で斥候に出かけてみたが、いや、事態は全く重大で、うっかり近づけない、そこで、ともかく近寄れる距離に近づいて、探れるだけの事情を探訪して、ようやくいま引返して来たところなんだがな、とりあえずここへ駈けつけて、外で様子をうかがっていると、友造君が無事に立戻ったことの確かなのを知り、ホッと安心したというわけなんです」「ははあ、そうか、それでわかった、誰か外に人がいるようだとそうは思っていたよ」と米友は、何か思い当るところあるものの如く、ひとり合点の声を立てると、関守氏は、「そういうわけだから、まだお銀様にも復命していないのです、一刻も早くお館の方へ行って、お銀様にその事情を話して、明朝になってまたとって返して、こちらへやって来て委細をお話し申しましょう」と言って関守氏は、立てともしにして置いた提灯を取り上げて、また同じ口から閾を跨いだが、一休宗純から問答をでもしかけられたような形になり、片足は外へ出して、「ところで、さしあたり一つ心配なのは、その一揆暴動の崩れが、或いはこの辺へ押寄せて来ないとも限らない、胆吹山というところは昔から落人の本場なんだから――そこをひとつ、念のために用心をして置いて下さいよ、一時にそう潮の押寄せるようにここまで押寄せて来るはずはなかろうけれども、一人二人、どちらのどんな奴が迷い込んで来ようとも知れぬ、戸締りをよくして置いて下されよ」こう言い置いて、外の闇の中に身を没しましたの読み方
中里介山 「大菩薩峠」

...無事に済んだのが何よりでございました」関守氏の...   無事に済んだのが何よりでございました」関守氏のの読み方
中里介山 「大菩薩峠」

...今度の騒ぎも、そもそもその江戸御老中派遣の勘定方が、わいろによって検地に甚(はなはだ)しい手心を試みた、それが勃発のもとなんで、早い話が……」関守氏が元来、話好きなのに、お雪ちゃんという子が聞き上手とでも言おうか、相当に理解がある上に、知識慾も盛んで、あれからホンの僅かの間の交際ではあるけれども、関守氏は、お雪ちゃんを話相手とすることが好きなので、暇を見ては話しに来ることを楽しみにしているようなあんばいで、お雪ちゃんもまた、この人が話好きであるのみならず、よく物事の情理を心得ていることを知っているから、悪くはもてなさないので、つい話もはずんで行くのでした...   今度の騒ぎも、そもそもその江戸御老中派遣の勘定方が、わいろによって検地に甚しい手心を試みた、それが勃発のもとなんで、早い話が……」関守氏が元来、話好きなのに、お雪ちゃんという子が聞き上手とでも言おうか、相当に理解がある上に、知識慾も盛んで、あれからホンの僅かの間の交際ではあるけれども、関守氏は、お雪ちゃんを話相手とすることが好きなので、暇を見ては話しに来ることを楽しみにしているようなあんばいで、お雪ちゃんもまた、この人が話好きであるのみならず、よく物事の情理を心得ていることを知っているから、悪くはもてなさないので、つい話もはずんで行くのでしたの読み方
中里介山 「大菩薩峠」

...関守さんも申しておりました」「うむ...   関守さんも申しておりました」「うむの読み方
中里介山 「大菩薩峠」

...ほかならぬ元の不破(ふわ)の関の関守氏...   ほかならぬ元の不破の関の関守氏の読み方
中里介山 「大菩薩峠」

...お銀様に対する不破の関守氏であって...   お銀様に対する不破の関守氏であっての読み方
中里介山 「大菩薩峠」

...関守氏は、目的地に着いたからといって、驀直(ばくじき)に目的に向ってこせつくような軽策を取らない...   関守氏は、目的地に着いたからといって、驀直に目的に向ってこせつくような軽策を取らないの読み方
中里介山 「大菩薩峠」

...不破の関守氏は、笠も軽くこの小関越えをなしながら、きこりやまがつに逢うと、おさだまりのように、「この道を真直ぐに行くと山科(やましな)へ出ることに間違いはありますまいな...   不破の関守氏は、笠も軽くこの小関越えをなしながら、きこりやまがつに逢うと、おさだまりのように、「この道を真直ぐに行くと山科へ出ることに間違いはありますまいなの読み方
中里介山 「大菩薩峠」

...関守氏は何食わぬ面(かお)ではない...   関守氏は何食わぬ面ではないの読み方
中里介山 「大菩薩峠」

...ここへ来てから第四日目――今日は関守氏が...   ここへ来てから第四日目――今日は関守氏がの読み方
中里介山 「大菩薩峠」

...この時節だから用心はドコまでも用心をして……」関守氏から本格的に戒められて...   この時節だから用心はドコまでも用心をして……」関守氏から本格的に戒められての読み方
中里介山 「大菩薩峠」

...不破の関守氏とお角さんとは...   不破の関守氏とお角さんとはの読み方
中里介山 「大菩薩峠」

...その手紙を濡(ぬ)らしちゃいかん」かくして不破の関守氏は...   その手紙を濡らしちゃいかん」かくして不破の関守氏はの読み方
中里介山 「大菩薩峠」

...これは関守氏を待って...   これは関守氏を待っての読み方
中里介山 「大菩薩峠」

...ほぼ科学的に関守氏の胸に疾うから浮んでいる...   ほぼ科学的に関守氏の胸に疾うから浮んでいるの読み方
中里介山 「大菩薩峠」

...関守氏が拾い上げて見ると...   関守氏が拾い上げて見るとの読み方
中里介山 「大菩薩峠」

...不破の関守氏に諒解があって...   不破の関守氏に諒解があっての読み方
中里介山 「大菩薩峠」

...自分は関守であるし...   自分は関守であるしの読み方
山本周五郎 「山彦乙女」

「関守」の読みかた

「関守」の書き方・書き順

いろんなフォントで「関守」


ランダム例文:
屋蓋   深厳   変わらず  

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