...いつもこの事実を閑却してゐる...
芥川龍之介 「文芸的な、余りに文芸的な」
...自己を正しからずと思ふ意識が閑却されて行つた...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...授業中一学年の生徒を閑却した傾きがあつたといふ説が出たぐらゐで...
石川啄木 「道」
...どれを閑却しても...
上田広 「指導物語」
...大体を説くというこの講義の主義からわざと閑却することにします...
高浜虚子 「俳句とはどんなものか」
...従ってM君の所説は一向に無意味なただの悪(にく)まれ口としか評価されないで閑却されていたのである...
寺田寅彦 「変った話」
...クリストフ自身もその詩的妙技をこれまで閑却していたのであるが...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...されば現代の人が過去の東洋文学を顧(かえりみ)ぬようになるに従って梅花の閑却されるのは当然の事であろう...
永井荷風 「葛飾土産」
...その手腕を閑却することができなかったのも道理がある...
中里介山 「大菩薩峠」
...東海道の要(かなめ)を押えるところの尾張の名古屋を閑却しているということに...
中里介山 「大菩薩峠」
...現識の豊富といふことがとかく閑却され勝な所に日本の世間の稀薄性が存する...
中原中也 「芸術論覚え書」
...その後は幾ぶんこの山を閑却した傾きがあり...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...この生とあの生との取捨に忙がしきが故に生と死との最大問題を閑却する...
夏目漱石 「虞美人草」
...當然疑問にしてよい事は閑却されてゐたのだつた...
長谷川時雨 「「郭子儀」異變」
...今の青年輩(はい)は動(やや)ともすると実用なる科学智識の研究を閑却してヤレ詩を作るの歌を詠(よ)むのあるいは俳句を案ずるのと無用な閑文字(かんもんじ)に脳漿(のうしょう)を絞(しぼ)っているが...
村井弦斎 「食道楽」
...日本婦人が外から顔を磨いて内からの食物を閑却するのは目的と結果とが反対になる...
村井弦斎 「食道楽」
...政府も決して閑却はしてゐないし...
吉川英治 「折々の記」
...天下万民に各々そのこころざしを遂げしむる努力を閑却するごときものは...
和辻哲郎 「蝸牛の角」
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