...從つて精神内容の創造に沒頭する人は大抵天分の問題を第二義の問題として閑却する...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...曇らされざる眼を以つて自己と自己の内容とを反省したことがある者の何人も拒み得ないところである――この事實を閑却してはならない...
阿部次郎 「三太郎の日記 第三」
...現在の日本を了解することを閑却(かんきゃく)しつつあるようなことはないか...
石川啄木 「弓町より」
...戦争か平和かの永遠の課題――だのに彼女はそれらのいっさいを閑却して...
リットン・ストレチー Lytton Strachey 片岡鉄兵訳 「エリザベスとエセックス」
...もし俳句の趨勢(すうせい)がいよいよ進んでまったく季題を閑却する時がきたらそれはもう俳句ではなくなるのであります...
高浜虚子 「俳句とはどんなものか」
...しかし物理学の進歩するほどその基となる五感は閑却されて来るのである...
寺田寅彦 「物質とエネルギー」
...歴史はこれらの特殊な事がらをほとんどことごとく閑却している...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...こりゃ何だい!」閑却(かんきゃく)されていた七兵衛はここで紙包をポンと突き返して...
中里介山 「大菩薩峠」
...場内の人気の焦点から暫く閑却されたのみならず...
中里介山 「大菩薩峠」
...宮重大根(みやしげだいこん)が太いところの尾張の名古屋を閑却しているのを...
中里介山 「大菩薩峠」
...その、すさまじい行燈でさえが、無聊(ぶりょう)と、冷遇と、閑却と、無視との間に、何か一応の怨言(うらみごと)をさしはさんでみようとして、それで何を恐れてか、それを言い煩(わずろ)うているほどに荒涼なこの一室...
中里介山 「大菩薩峠」
...得たり賢し――多年、冷遇され、閑却され、虐待され、無視されていた角行燈子(かくあんどんし)は、時を得たりとばかり、パッとあらん限りの瞼(まぶた)を開きました...
中里介山 「大菩薩峠」
...今までに全く閑却していた方面に...
中里介山 「大菩薩峠」
...」閑却されて、使者の役目まで忰(せがれ)に奪われた壮士は、撫然(ぶぜん)として忰に命令した...
長谷川時雨 「古屋島七兵衛」
...文化戦線を閑却してはいけない...
宮本百合子 「「鎌と鎚」工場の文学研究会」
...佐久の馬の脊につけた三升入の酒樽を悉(ことごと)く閑却したのである...
柳田国男 「峠に関する二、三の考察」
...いかに多くの事蹟を閑却していたかを...
柳田國男 「野草雑記・野鳥雑記」
...全然閑却せられているように見える...
和辻哲郎 「院展日本画所感」
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