...動かないように、椅子に螺釘留(ねじくぎどめ)にしてある、金属のの上に、ちくちくと閃く、青い焔が見えて、の縁の所から細い筋の烟が立ち升(のぼ)って、肉の焦げる、なんとも言えない、恐ろしい臭が、広間一ぱいにひろがるようである...
アルチバシェッフ M. Artzibaschew 森鴎外訳 「罪人」
...何か怖しい思慮が不意に閃く樣に...
石川啄木 「赤痢」
...積雲に電光が閃く瞬間に気を附けて...
アンリイ・ファブル Jean-Henri Fabre 大杉栄、伊藤野枝訳 「科学の不思議」
...とんと独創に閃く作品は見ることは出来ません...
上村松園 「雷同性に富む現代女流画家」
...ときどき円タクのヘッドライトがピカリと向うの辻に閃くばかりで...
海野十三 「深夜の市長」
...伊藤侯は信仰を有せず若し之れありとせば唯だ運命に対する信仰あるのみ故に侯は屡々高島嘉右衛門をして自家の吉凶を卜せしむ大隈伯は宗教信者に非ず然れども一種敬虔の情凛乎として眉目の間に閃くは以て伯が運命の外別に自ら立つ所あるを見るに足る蓋し伊藤侯の屡々失敗して毎に之れが犠牲と為らざるは殆ど人生の奇蹟にして...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...立上りかけると「うぬっ」白く閃くものが...
直木三十五 「南国太平記」
...水の中で閃く刀、それを払った棒...
直木三十五 「南国太平記」
...上段の刀尖が、手が、ぴくぴく動くと、次の瞬間「ええいっ」見事、小太郎の誘いに乗って、大きく一足踏み出すと、きらっと、白く円弧を描いて、打ち込む――その光った弧線が、半分閃くか、閃かぬかに「とうっ」肚の中まで、突き刺すような、鋭い気合、閃く水の影の如く、一条の白光、下から宙へ閃くと――刀と、片手が、血潮の飛沫と共に、宙に躍った...
直木三十五 「南国太平記」
...その天才が閃くのは思ひがけない発見の中にであり...
中原中也 「デボルド―※[#濁点付き片仮名ワ、1-7-82]ルモオル」
...あれは今もすぐ頭上に閃くかもしれなかつた...
原民喜 「長崎の鐘」
...何か動く群のなかにピカツと一直線に閃くものがあつた...
原民喜 「火の唇」
...ただ内に閃くもの...
原民喜 「忘れがたみ」
...わたしの壁の写真の中には閃く海神鉾に翻へる久寿玉から五彩のテープが舞ひ乱れ...
牧野信一 「緑の軍港」
...「座につくと彼はものの一分も私を閃くが如き眼で見つめてゐたが...
牧野信一 「『ユリイカ』挿話」
...地をなめる猛火をはらつて閃くは剣戟の冷たさ……火と煙と剣の閃光とを破つて現れたのは蘭丸!勇ましい蘭丸...
牧野信一 「蘭丸の絵」
...あゝ父の血だ! とちらり閃く考へが...
水野仙子 「脱殼」
...遠く行く手に当つて閃くのが見える...
吉江喬松 「伊良湖の旅」
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