...動かないように、椅子に螺釘留(ねじくぎどめ)にしてある、金属のの上に、ちくちくと閃く、青い焔が見えて、の縁の所から細い筋の烟が立ち升(のぼ)って、肉の焦げる、なんとも言えない、恐ろしい臭が、広間一ぱいにひろがるようである...
アルチバシェッフ M. Artzibaschew 森鴎外訳 「罪人」
...言ふ事に時々利害の觀念が閃く...
石川啄木 「葉書」
...ときどき円タクのヘッドライトがピカリと向うの辻に閃くばかりで...
海野十三 「深夜の市長」
...迅い閃く稲妻のように...
ラビンドラナート・タゴール Rabindranath Tagore 宮本百合子訳 「唖娘スバー」
...時に蠅のような小さい虫が小春の日光を浴びて垣根の日陰を斜めに閃く...
寺田寅彦 「森の絵」
...(何うかしている)月丸は、眼を閉じて、落ちつこうとしたが、眼を閉じると、赤く閃く玉が、上へ昇ったり、下へ降りたりするし、又、血の臭が、鼻の中へ、蘇ってきた...
直木三十五 「南国太平記」
...鳥が鳴く、東の国に行き向い、千々の心を、尽しつつ荒びなす、醜(しこ)の醜臣(しこおみ)打ち払い、功業(いさお)立てなむ真心は、霞と共に大空に立渡りける「よう、よう」と一人が、叫んだ時、君不見(きみみずや)、方今天下転変の状内外上下都失倫(すべてみちをうしなう)「ちぇすとうっ」「舞うぞ」と、叫んで、有村が、影の閃く如く、座の真中へ出た...
直木三十五 「南国太平記」
...見るとその片手にはきらりと閃く物を持っている...
浜尾四郎 「夢の殺人」
...あれは今もすぐ頭上に閃くかもしれなかつた...
原民喜 「長崎の鐘」
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波立一 「動員令」
...わたしの壁の寫眞の中には閃く海神鉾に飜へる久壽玉から五彩のテープが舞ひ亂れ...
牧野信一 「緑の軍港」
...わたしの壁の写真の中には閃く海神鉾に翻へる久寿玉から五彩のテープが舞ひ乱れ...
牧野信一 「緑の軍港」
...地をなめる猛火をはらつて閃くは剣戟の冷たさ……火と煙と剣の閃光とを破つて現れたのは蘭丸!勇ましい蘭丸...
牧野信一 「蘭丸の絵」
...あゝ父の血だ! とちらり閃く考へが...
水野仙子 「脱殼」
...暗い河北省の闇とそこに閃く光が濃く且つ鋭く走ったような事情である...
宮本百合子 「くちなし」
...烟と熱と舌のように閃く(ほのお)の燃立(もえたち)との間から...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
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森川義信 「虚しい街」
...樹の幹の間に落ちている日光の斑点の中で聖書を読みつつ歩いて来る若い牧師の華奢な両手――その指の間から閃く金色の聖書の頁が矢代の眼を強く刺して来た...
横光利一 「旅愁」
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