...晦迷なる意識の中に閃き又閃く...
阿部次郎 「三太郎の日記 第三」
...將に不可知の淵に投ぜむとするときに本能的に人の意志に閃く生への囘顧執着――この執着によつてあの言葉が生れたと見るのは...
阿部次郎 「三太郎の日記 第三」
...旅僧の姿はひらひらと室の其処此処に閃くばかりでどうすることもできなかった...
田中貢太郎 「怪しき旅僧」
...伊藤侯は信仰を有せず若し之れありとせば唯だ運命に対する信仰あるのみ故に侯は屡々高島嘉右衛門をして自家の吉凶を卜せしむ大隈伯は宗教信者に非ず然れども一種敬虔の情凛乎として眉目の間に閃くは以て伯が運命の外別に自ら立つ所あるを見るに足る蓋し伊藤侯の屡々失敗して毎に之れが犠牲と為らざるは殆ど人生の奇蹟にして...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...立上りかけると「うぬっ」白く閃くものが...
直木三十五 「南国太平記」
...その一刹那「ええいっ」牧の手の戒刀が、画像へ閃くと、明王の頭から、真二つに切れて、倒れ落ちると共に、その裾から、燃え上ってしまった...
直木三十五 「南国太平記」
...右へ閃くと――小太郎の前へ...
直木三十五 「南国太平記」
...閃く影に躍(おど)る善男子(ぜんなんし)...
夏目漱石 「虞美人草」
...智的なものが閃くのです...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...見るとその片手にはきらりと閃く物を持っている...
浜尾四郎 「夢の殺人」
...何か小さなものがピカリと閃く...
原民喜 「災厄の日」
...あれは今もすぐ頭上に閃くかもしれなかつた...
原民喜 「長崎の鐘」
...絶えず見えないところにあつて閃く光線があるやうだ...
原民喜 「長崎の鐘」
...この的この成就は暗(やみ)の中(うち)に電光(いなずま)の閃くような光と薫とを持っているように...
ホフマンスタアル Hugo von Hofmannsthal 森鴎外訳 「痴人と死と」
...あゝ父の血だ! とちらり閃く考へが...
水野仙子 「脱殼」
...その間にちょいちょい鋭い批評眼らしいものが閃く...
宮本百合子 「斯ういう気持」
...胸に閃くものがあった...
山川方夫 「あるドライブ」
...樹の幹の間に落ちている日光の斑点の中で聖書を読みつつ歩いて来る若い牧師の華奢な両手――その指の間から閃く金色の聖書の頁が矢代の眼を強く刺して来た...
横光利一 「旅愁」
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