...楽々と長火鉢の前に坐り...
芥川龍之介 「玄鶴山房」
...お芳の顔を見ないように早速長火鉢の前を立ち上った...
芥川龍之介 「玄鶴山房」
...長火鉢の傍(わき)へ...
泉鏡花 「婦系図」
...客人と長火鉢をはさんで話をしていた...
太宰治 「雌に就いて」
...実際今の日本の「家庭」は、やれ箪笥(たんす)だとか、長火鉢だとか、座布団(ざぶとん)だとか云う物が、あるべき所に必ずなければいけなかったり、主人と細君と下女との仕事がいやにキチンと分れていたり、近所隣りや親類同士の附き合いがうるさかったりするので、その為(た)めに余計な入費も懸るし、簡単に済ませることが煩雑(はんざつ)になり、窮屈になるし、年の若いサラリー・マンには決して愉快なことでもなく、いいことでもありません...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...女は長火鉢の向うからじろじろ見て笑っていた...
徳田秋声 「足迹」
...私は大学生の向うに長火鉢の側に坐った...
豊島与志雄 「悪夢」
...長火鉢がなくなった...
豊島与志雄 「女心の強ければ」
...長火鉢に伏せていた少し酒気のある顔を挙げた...
豊島与志雄 「野ざらし」
...長火鉢から茶箪笥から釘に懸ってる衣服まで...
豊島与志雄 「白日夢」
...長火鉢(ながひばち)の側に無慙な死體を横たへて居たのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...そんな雌猫(めねこ)の化けたやうな脂(あぶら)ぎつた女なんかと見換(みか)へちや罰(ばち)が當るよ」「お町、口が過ぎるぞ」「お神酒(みき)は過ぎてるが、口なんか過ぎるものか」お町は一寸も引きさうにありません、――それどころか、長火鉢の向うへ、女だてらに大胡坐(おほあぐら)をかくと、お樂の手から猪口(ちよく)をむしり取ります...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...長火鉢の猫板の上の舐め物まで何の變りもありませんが...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...長火鉢はいうまでもなく...
羽仁もと子 「女中訓」
...廣いこの室には長火鉢の外に茶棚が一つあるきりで...
室生犀星 「蒼白き巣窟」
...長火鉢(ながひばち)の前に煙草(タバコ)喫(の)みゐるお上(かみ)に暇乞(いとまごい)して帰らんとする...
森鴎外 「そめちがへ」
...二おつねは長火鉢にかけてある真鍮(しんちゅう)の鬢盥(びんだらい)の中から...
山本周五郎 「ひとでなし」
...濡れた着物をつけ直して率八を長火鉢のそばへ呼び...
吉川英治 「江戸三国志」
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