...女の本能の鋭さから田川夫人はすぐそれを感づいたらしかった...
有島武郎 「或る女」
...個人的なものとはもっぱら演出者の個々の眼の鋭さに由来するが...
伊丹万作 「演技指導論草案」
...然しその照らしは却つて自分の苦悶を一層明暸に自覺させる鋭さであつた...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...ややもすればわれわれの中のさもしい小我のために失われんとする心の自由を見失わないように監視を怠らないわれわれの心の目の鋭さを訓練するという効果をもつことも不可能ではない...
寺田寅彦 「俳句の精神」
...若々しさと鋭さに緊張した顔容と話しぶりであった...
寺田寅彦 「備忘録」
...此の先生の気象の鋭さがいたづら盛りの悪太郎共を押さへつけてしまつた...
寺田寅彦 「蓑田先生」
...之は実は凡庸で鋭さを欠いた或る種のインテリ層だったのだ...
戸坂潤 「世界の一環としての日本」
...彼の精神は鋭さの余りから来る迷信に陥った...
夏目漱石 「それから」
...あなたの眼にある鋭さを備へてゐらつしやる...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...鬣の蔭に異状な鋭さを放つて靄を突き射してゐる二つの眼球を視た...
牧野信一 「鱗雲」
...私は先生の直観の鋭さに敬服すると共に...
三木清 「西田先生のことども」
...彼等の青春の精神の鋭さと誇りとは...
宮本百合子 「「結婚の生態」」
...ボンヤリする心彼等都会の少年少女は、その頭の鋭さ、デリケートさに相応する相手を求むべく、飢えかわき、ふるえおののいている...
夢野久作 「東京人の堕落時代」
...ふしぎな色感と鋭さを持つ藍と代赭のつかひ方も...
吉川英治 「折々の記」
...毛艶(けづや)のよさ、脚、艫(とも)(馬臀)、肩との均整、蹄爪の鋭さ...
吉川英治 「黒田如水」
...勢いにのった鋭さは乱れ立った魏の勢のよく及ぶところではない...
吉川英治 「三国志」
...遍路(へんろ)の歌鼬(いたち)のような鋭さをして...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...その眼光の鋭さ、らんらんと燃ゆるような四つの眼は、お互(たがい)の胸の底まで見抜こうとする物凄いものであった...
モーリス・ルプラン 菊池寛訳 「奇巌城」
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