...しかし(あん)や皮にあった野趣だけはいつか失われてしまった...
芥川龍之介 「本所両国」
...所謂梅林的ならずして、野趣愛すべし...
大町桂月 「久地の梅林」
...どうも野趣がありすぎて上品のお膳をいやしくする傾きがあるので私はちよつと躊躇した...
太宰治 「津軽」
...水仙を活ける、よいかな、よいかな、藪椿とは対蹠的な趣致がある、貴族的――平民的、洗練味――野趣、つめたさ――あたたかさ、青白い美人――肥つたお侠、等々...
種田山頭火 「其中日記」
...□河原撫子の野趣...
種田山頭火 「其中日記」
...原始的な野趣を求むるやうになつた...
内藤湖南 「近代支那の文化生活」
...その自然と野趣とは全く郊外の他(た)の場所に求むべからざるものである...
永井荷風 「日和下駄」
...この野趣あるがゆゑであつた...
中村憲吉 「三次の鵜飼」
...写生をするにも野趣のある草花はないし...
中谷宇吉郎 「南画を描く話」
...唯ヒイスを※ひ岩の飾りをつけてゐるきりであつた――其處では野趣は野蠻に變じ...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...即景そのままにして多少の野趣あり...
正岡子規 「俳諧大要」
...そして床の間に或る野趣とも銘すべき調和をさへかんじたのだつた...
室生犀星 「故郷を辞す」
...当時のお茶の水には多少の野趣があつたらしい...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...野趣のある香気の...
山本周五郎 「桑の木物語」
...昆布の眞ん中を藁みごでくくるのも甚だ野趣があつていゝ...
横瀬夜雨 「田舍の新春」
...日曜の鐘を聞いて白いレエスの帽を被(かぶ)つた田舎(ゐなか)娘が幾人も聖書を手にし乍(なが)ら坂路(さかみち)を伏目勝(がち)に御(お)寺へ急ぐ姿も野趣に富んで居た...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
...いつもの野趣の風がない...
吉川英治 「江戸三国志」
...一種の野趣と豪放な線のおもしろさはあるが...
吉川英治 「折々の記」
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