...しかし(あん)や皮にあつた野趣(やしゆ)だけはいつか失はれてしまつた...
芥川龍之介 「本所両国」
...虫の喰った木の小枝でつくった野趣に富んだ燭台...
エドワード・シルヴェスター・モース Edward Sylvester Morse 石川欣一訳 「日本その日その日」
...このやうなる野趣もあらむ...
大町桂月 「遊羽雜感」
...)どんな猟角笛よりも野趣があって諧調のうつくしいひとふしをそれで吹きならすのをつねとした男をよくおぼえている...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...跣足でポストまで、帰途、蓼を折つてきて活ける、野趣横溢、そして秋気床間に満つ...
種田山頭火 「其中日記」
...野趣を添えようというわけだ...
豊島与志雄 「田園の幻」
...原始的な野趣を求むるやうになつた...
内藤湖南 「近代支那の文化生活」
...その自然と野趣とは全く郊外の他(た)の場所に求むべからざるものである...
永井荷風 「日和下駄」
...かくして私共が野趣滿々たる味覺を唆られて平の中程に腰を下ろしたのは十時五十分であつた...
沼井鐵太郎 「黒岩山を探る」
...妙に野趣(やしゅ)を帯びた...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...どこか野趣をおびた...
久生十蘭 「無月物語」
...野趣満々たる色々な料理...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...即景そのままにして多少の野趣あり...
正岡子規 「俳諧大要」
...風景でも大ざっぱで野趣のある関東から来た人は...
宮本百合子 「京都人の生活」
...その性情は野趣に富み奔放不拘束な点が多かった...
山本周五郎 「似而非物語」
...なんとなく野趣に富んだ風流向き...
山本笑月 「明治世相百話」
...昆布の眞ん中を藁みごでくくるのも甚だ野趣があつていゝ...
横瀬夜雨 「田舍の新春」
...一種の野趣と豪放な線のおもしろさはあるが...
吉川英治 「折々の記」
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