...大圈をなせる波は相重りて岸に迫れり...
ハンス・クリスチアン・アンデルセン Hans Christian Andersen 森鴎外訳 「即興詩人」
...一心は高し岩手山思ひは長し北上やこゝ澁民の學舍にむつびし年の重りて二梅こそ咲かね風かほる彌生二十日の春の晝若き心の歌ごゑにわかれのむしろ興たけぬ三あゝわが友よいざさらば希望の海に帆をあげよ思ひはつきぬ今日の日のつどひを永久の思ひ出に(明治四十年三月作)...
石川啄木 「唱歌」
...重り合つて迫つて来るいろんな家庭内の迫害を...
伊藤野枝 「乞食の名誉」
...番頭の顔がやがてそこに重り合つて見えてゐたが...
田山録弥 「山間の旅舎」
...渓流はその重り合つた山の根を根気よく曲り曲つて流れて居るが...
田山花袋 「重右衛門の最後」
...重り合う家並の彼方瓦斯タンクは煤煙の雨空に溶ける大川に架る錆びた鉄橋...
丹沢明 「千住大橋」
...先刻の誤解が度重り...
中原中也 「心理的と個性的」
...各鱗の一部だけが重り合って...
中谷宇吉郎 「異魚」
...すぐ追っ掛けましたが、姿は見えません」お静が差出したのは、帛紗(ふくさ)に包んだ、持重りのする品、解く手も遅しと、引っくり返すと、中から出たのは、五六十枚の小判と、二三枚の手紙ではありませんか...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...唯心で涙をこぼしていらつしやる柄猶御病氣も重り升わと...
長谷川時雨 「うづみ火」
...背中の棺がその日にかぎっていつもよりしょい重りがしたというようなことはございませんでしたか」「……棺桶といえば椹(さわら)か杉にかぎったもの...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...月重りて後は一入轉ばぬように氣を付けるべし...
福澤諭吉 「養生の心得」
...湖面上に密度の違ふ空気が美しく層をなして重りあつて居て光を屈折するからである...
正木不如丘 「釣十二ヶ月」
...心におしつける重りかかるものがあつた...
室生犀星 「名園の落水」
...落ちた大枝の重りで...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...松の幹の重り合った蔭になってしまった...
夢野久作 「空を飛ぶパラソル」
...今は青葉が重り合って...
吉江喬松 「木曾御嶽の両面」
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