...なるほど実の酸っぱいのが玉に瑕(きず)である...
青木正児 「九年母」
...あたりには鉄が錆びたような酸っぱい空気が澱んでいた...
海野十三 「深夜の市長」
...酸っぱいような臭いがした...
海野十三 「千早館の迷路」
...台所の隅に、その一升瓶があるばっかりに、この狭い家全体が、どろりと濁って、甘酸っぱい、へんな匂いさえ感じられ、なんだか、うしろ暗い思いなのである...
太宰治 「酒ぎらい」
...誰も、ごぞんじ無いのだ、と私は苦しさを胸一つにおさめて、けれども、その事実を知ってしまってからは、なおのこと妹が可哀そうで、いろいろ奇怪な空想も浮んで、私自身、胸がうずくような、甘酸っぱい、それは、いやな切ない思いで、あのような苦しみは、年ごろの女のひとでなければ、わからない、生地獄でございます...
太宰治 「葉桜と魔笛」
...しきりに酸っぱいものを欲しがったりしたのは...
豊島与志雄 「幻の彼方」
...「甘酸っぱいような妙な匂ですよ...
豊島与志雄 「林檎」
...その甘酸っぱいのに...
豊島与志雄 「林檎」
...八五郎の甘酸っぱい顔というものは――何しろ娘の可愛らしさは非凡でした...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...あの高慢ちきな親爺が」八五郎は甘酸っぱい顔を...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...酸っぱい酒の匂いが臭くて焦々する...
林芙美子 「新版 放浪記」
...」酸っぱいものを食べた後のように...
林芙美子 「新版 放浪記」
...甘酸っぱいようなものの立ちこめている晩春の暮れ方...
正岡容 「小説 圓朝」
...酸っぱい果物がよくないことは知りませんでした...
宮本百合子 「獄中への手紙」
......
山之口貘 「鮪に鰯」
...あま酸っぱいような女の躰臭と...
山本周五郎 「青べか物語」
...焦げめのついた肉に、なにか果物を潰(つぶ)したような、甘酸っぱい、どろっとした汁が掛けてある...
山本周五郎 「山彦乙女」
...甘酸っぱい花弁の腐りかけたのが指先きに喰っついて来る...
横光利一 「欧洲紀行」
便利!手書き漢字入力検索