...それで通常は決して無情酷薄な父ではないのである...
伊藤左千夫 「春の潮」
...張った顎(あご)のあたりが何か酷薄な感じで宇治に迫って来た...
梅崎春生 「日の果て」
...逃がしたサラゴッサの市民は酷薄な復讐を受けなければならなかった...
リットン・ストレチー Lytton Strachey 片岡鉄兵訳 「エリザベスとエセックス」
...危険なる容態と酷薄なる苦悩とを通り越して...
豊島与志雄 「二つの途」
...各瞬間は酷薄な埋葬者となる...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...また文化運動の酷薄な困難さと戦いはじめたのであった...
中井正一 「地方文化運動報告」
...現段階の酷薄な情勢のなかにあっては...
中井正一 「図書館法ついに通過せり」
...日頃親分の酷薄な態度を怨(うら)んでいる者もあり...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...真の残忍酷薄なる純美主義の芸術である...
萩原朔太郎 「詩の原理」
...社長室へ入ると酷薄な打算と創意が潮のように心の中におしあげてきて...
久生十蘭 「三界万霊塔」
...妻や子供らに酷薄な所業をしたが...
久生十蘭 「無月物語」
...然(しか)しその眼元はあの無垢(むく)な光を失って一種鋭どい酷薄な光りを帯び柔(やさ)しく綻(ほころ)びかかった花の莟(つぼみ)のようであった唇の辺りには...
三上於兎吉 「艶容万年若衆」
...片っぱすから戦争へ出して殺しっちゃえば世話はいらないんだ」極めて冷静な酷薄な調子で云った...
宮本百合子 「刻々」
...こういう酷薄なまねはできないだろう...
山本周五郎 「失蝶記」
...如何なる残忍酷薄な奴でもその鼻の表現に...
夢野久作 「鼻の表現」
...その妾(しょう)を奪ったりなど――残忍酷薄な数々の経歴は...
吉川英治 「新書太閤記」
...貴様の酷薄な処置に...
吉川英治 「松のや露八」
...生涯いじいじ小金を蓄えて死んで行った酷薄なる叔母の良人(おっと)――それよりは...
吉川英治 「宮本武蔵」
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