...そして直ぐさま身を飜(ひるが)えすようにして門前につづく広い空地の片隅に佇(たたず)んで細田氏の姿の現われるのを今や遅しと待っていました...
海野十三 「三角形の恐怖」
...速度の遅くて、射程の長い、そして命中率百パーセントの砲弾! そんなおそろしいものが、この世の中にあるとは、どうしても思われないが……いや、僕たちは、既成(きせい)科学に対し、すっかり囚人(しゅうじん)になっているのがいけないのかもしれない」ロッセ氏は、そういって、ぶるぶると身顫(みぶる)いをすると、急いでグラスを唇のところへ持っていった...
海野十三 「のろのろ砲弾の驚異」
...進も今のような時代遅れのことはさせて置きたくない...
大杉栄 「獄中消息」
...朝遅いのも道理である...
高浜虚子 「丸の内」
...電光のように早いかと思うと牛の喘歩(あえぎ)のように遅(おそ)い...
田山花袋 「一兵卒」
...夜遅くなれば友だちといっしょに一つ蒲団(ふとん)にくるまって寝た...
田山花袋 「田舎教師」
...』カルタをしに行くにはもう遅いし...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「決闘」
...もう遅いわ...
豊島与志雄 「紫の壜」
...この一本松のところを、或る夜遅く、島野彦一は通りかかった...
豊島与志雄 「ものの影」
...俥が遅れるからかね」と兄が聞いた...
夏目漱石 「行人」
...余り帰りが遅くなるので...
葉山嘉樹 「坑夫の子」
...のろまな連中が遅れてやってくる...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「断食芸人」
...何故遅(おそ)く来たか...
南方熊楠 「十二支考」
...其賦性も遅鈍であつたので...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...また婚期の遅れゆく幸子のことを考えるときは...
横光利一 「旅愁」
...遅くなったら、泊まって来るかも知れませんよ」彼時代の元気というものは、自分にも他人にも抑止(よくし)することを許しません...
吉川英治 「江戸三国志」
...その赤らんだ耳朶(みみたぶ)にかかった二三本の遅れ髪(げ)がかすかにふるえていた...
蘭郁二郎 「夢鬼」
...もう夜も遅いし、明朝は三時に起きるというのでその夜はあまり話もせずに寝た...
和辻哲郎 「巨椋池の蓮」
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