...不思議な道に自覚なく迷い入って...
有島武郎 「或る女」
...軌道の発見せられていない彗星(すいせい)の行方(ゆくえ)のような己れの行路に慟哭(どうこく)する迷いの深みに落ちていくのである...
有島武郎 「二つの道」
...一歩ごとに出喰わした、新しいこと珍しいことによって完全に疲労し、路に迷い、長く歩いて疲れ切った我々は、よろこんで人力車に乗って帰る意志を示した...
エドワード・シルヴェスター・モース Edward Sylvester Morse 石川欣一訳 「日本その日その日」
...気の迷いだったろうか)まさか川上機関大尉が...
海野十三 「浮かぶ飛行島」
...それらの不幸なる孤児等が自然の径路でこの宿屋の台所に迷い込んで来るそうである...
寺田寅彦 「さまよえるユダヤ人の手記より」
...向うの男も迷いがさめて...
豊島与志雄 「人間繁栄」
...云い知れぬ迷いのうちに陥っていった...
豊島与志雄 「反抗」
...私の蓬髪の中に迷いこみ...
豊島与志雄 「美醜」
...海月(くらげ)のようになってこの室に迷い込み...
中里介山 「大菩薩峠」
...女は迷いますよ」喜兵衛は当らず触らずの事を言いますが...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...つまらぬ気迷いを起さねばいいがと案じていると...
久生十蘭 「重吉漂流紀聞」
...でも心の中に、迷いはなかった...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「黄金薔薇」
...渡辺はどれからはいるのかと迷いながら...
森鴎外 「普請中」
...これが迷いである...
柳宗悦 「民藝四十年」
...本来跡方(あとかた)もない耳の迷いだから...
柳田国男 「山の人生」
...どこからか迷い込んで来たポインター雑種の赤犬を一匹...
夢野久作 「冗談に殺す」
...……ウウム、やはり貴女は花世殿だ、花世殿にちがいない」と、恐縮と疑惑と、迷いと否定と、交(こもごも)な気もちに乱れて、まるで心の滅走(めっそう)した人間のように、茫然と手を離した...
吉川英治 「牢獄の花嫁」
...雲とも霧ともつかぬものがその川原に迷い...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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