...さう思ふと弟をこゝから撲つてやりたいやうな氣もするけれど、夜(よる)になつて祖父が早くから寢て了つたあとは、お由とたつた二人になつて了ふ一と間で、お由が晝の内の小使を、下手な假名で例の横綴(よことぢ)の帖へ、考へ出してはぐづり/″\いつまでも附けてゐる側に、寢むさうな目を擦(こす)りながら、足を投げ出して、さびしさうに洋燈の灯を見てゐるさまを考へると、弟のために早く母と二人で歸つてやりたいやうに可哀相な氣もして來る...
鈴木三重吉 「赤い鳥」
...坊ちやんは、もう絵の本にも疾くにお飽きになつて、足を投げ出して、紙箱の蓋を裂(ちぎ)り/\してゐられたが、やがてもう眠くなつたと見えて、せいのない、浮かない顔をしてお出でになる...
鈴木三重吉 「桑の実」
...畑の中に長々と両足を投げ出して一休みしている人々もあった...
相馬泰三 「田舎医師の子」
...其所で両足を投げ出して休みながら見ますと...
田中貢太郎 「あかんぼの首」
...二人は足を投げ出して...
田山花袋 「田舎教師」
...片足を投げ出して身体を変な風にくねらせ...
豊島与志雄 「公孫樹」
...繃帶を出して縛らうとすると後に居た戰友が俺がやつてやらうといふので足を投げ出して居ると其奴が急にぐつと酷い重みで自分の痛い足へのし掛つた...
長塚節 「開業醫」
...涼しい縁端に足を投げ出していた私は...
林芙美子 「新版 放浪記」
...はろばろと足を投げ出して横になった...
林芙美子 「放浪記(初出)」
...その左足を投げ出して坐つた...
葉山嘉樹 「万福追想」
...何も知らない二頭のモルモットはそのちっちゃな可愛い足を投げ出して...
細井和喜蔵 「モルモット」
...四人が四人とも思ひ思ひに足を投げ出して...
堀辰雄 「牧歌」
...縁端に両足を投げ出して頭だけを障子の影にして寝転むだ儘...
牧野信一 「愚かな朝の話」
...子供の私が足を投げ出してゐてさへ厳しく坐り直させた...
牧野信一 「毒気」
...たしかにあの赤髪の鼠色のマントを着た変な子が草に足を投げ出して...
宮沢賢治 「風野又三郎」
...その上に足を投げ出して座り...
宮沢賢治 「耕耘部の時計」
...手足を投げ出して引っくり返ってしまった...
夢野久作 「一足お先に」
...縁先に、足を投げ出して、甘酒を飲む...
吉川英治 「随筆 新平家」
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