...その月の収入でその月の支払いがいつでも足りない...
伊藤左千夫 「去年」
...足りない破片があるとすれば...
リチャード・オースティン・フリーマン Richard Austin Freeman 妹尾韶夫訳 「オスカー・ブロズキー事件」
...努力の足りないところがあった...
太宰治 「姥捨」
...遊びあるくのには足りない財産であつた...
太宰治 「逆行」
...按(あん)ずるに視覚を失った相愛の男女が触覚(しょっかく)の世界を楽しむ程度は到底われ等(ら)の想像を許さぬものがあろうさすれば佐助が献身(けんしん)的に春琴に仕(つか)え春琴がまた怡々(いい)としてその奉仕を求め互(たがい)に倦(う)むことを知らなかったのも訝(あや)しむに足りない...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...絵でも人間でも一と目で先ず引き付けられないようなものにはやはり何か足りないものがあるかと思う...
寺田寅彦 「二科展院展急行瞥見記」
...そう云っただけではこの利害によって決定された問題提出形態の正当さを証明するには足りない...
戸坂潤 「イデオロギー概論」
...本当の社会的意義を明らかにするには足りない...
戸坂潤 「読書法」
...ぼくは君の友情を受くるに足りない者のような気がする...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...食い足りないことばかりで...
中里介山 「大菩薩峠」
...東風君はこれだけではまだ弁じ足りない...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...転地療養の歴史を方寸のうちに畳み込んでいたって毫(ごう)も驚くに足りない...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...一向冴えないのは物足りないことでした...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...如何に一夜づけでも十枚や二十枚では書き足りないから...
宮原晃一郎 「愛人と厭人」
...この新手の加勢をえないではとうてい我々に以上のものを放棄する気をおこさせるには足りない...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...くわせ者というぐらいでは足りないような人間と申すべきか...
山本周五郎 「思い違い物語」
...まだ解放し足りないところまで公開せよ...
夢野久作 「東京人の堕落時代」
...眼付きや口もとの表現で他人を欺き得るものはまだ徹底的に欺き得るものとは云えない……悪魔の名を冠(かぶ)らせるに足りない...
夢野久作 「鼻の表現」
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