...商売道具を手あたり次第に質草にするのが鳧(けり)だつた...
有島武郎 「骨」
...何かこの部屋に目ぼしい質草ありや...
太宰治 「斜陽」
...質草の資格あるしろもの一つも無し...
太宰治 「斜陽」
...質草になりそうなものの一つも無い荒涼たる部屋...
太宰治 「人間失格」
...・遠山の雪のひかるや旅立つとする・影も春めいた草鞋をはきかへる・春がきてゐる土を掘る墓穴これだけの質草はあつてうどんと酒・みちはいつしか咲いてゐるものがちらほら三月九日春光うらゝかなり...
種田山頭火 「其中日記」
...質草一つ出したり入れたりして秋また質入する時計ちくたく蝿が打つ手のかげが秋風九月十日晴れたり曇つたり...
種田山頭火 「其中日記」
...質草をさがしだして...
種田山頭火 「松山日記」
...重吉は始めから質草(しちぐさ)の乏しくなった時...
永井荷風 「ひかげの花」
...質草をはたいても...
中里介山 「大菩薩峠」
...「みんな戀文だ」「それを何んにするんで?」「まさか質草(しちぐさ)にもなりやしめえが...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...質草(しちぐさ)か何んかの足しになるでせうか」八五郎の氣樂さ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...それらの品物は質草としては威力を発揮してくれた...
バルザック Honore de Balzac 中島英之訳 「ゴリオ爺さん」
...同じ質草にさらに借金を申し込んでも...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「煉獄」
...夫婦の持物はみな売り払うか質草になって...
山本周五郎 「さぶ」
...やはり土蔵の奥から持出された古い質草らしい...
夢野久作 「巡査辞職」
...おめえに質草まで入れさせているのは済まない話だが...
吉川英治 「江戸三国志」
...そして、野郎に嫌が応でも二升五合賭で果し合いを申込んで、こっちが飢え死するか、伝公の奴が血ヘドを吐くか、最後の勝負をしてやります」「いいとも、質草入れても、十両こしらえてやる」「有難てえ、拝みます、親方」「だが、今までのようなやり方じゃ駄目だ」「へえ? ……やり方がありますか」「実は今だから話すが、何でも五両貸してくれと言う様子が変だから今日てめえ達が仕事に出たあとで、おれもちょっと砂利場へ様子を見に出掛けたんだ」「じゃ親方も、昼休みにやっていた醤油賭の様子を見ていたんで?」「ウム、眺めていた、見事なもんだ、あれじゃ幾ら一升飲め、一升五合飲めとかかったところで、半白半分(はんぱくはんぶん)に巻き上げられてしまうだろう」「そうかなア」「だが、おれも少しゃ、博奕で懲りている人間だし、若い時の覚えもある...
吉川英治 「醤油仏」
...母は唯一枚の着ている袷まで質草に入れ...
吉川英治 「忘れ残りの記」
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