...と諦めることに決心した...
犬田卯 「錦紗」
...諦(あきら)めるより外(ほか)ない」「諦めるより外ない...
海野十三 「地球要塞」
...「ふざけるない」七兵衛が叱りつけると、がんりきはニヤリニヤリと笑い、「兄貴も思いのほか人が悪いや、弱い者を苛(いじ)めっこなし、人の物を横取りは風(ふう)が悪いね、なにもお前と、おれの間だから、欲しけりゃあそうと言っておくんなさい、ずいぶん譲って上げねえ限りもねえのだ、だまって持って行かれると心持が悪い……そうしてまた兄貴はこれを持ち出して、いったいどうする気なんだエ、失礼ながら、このなかみの有難さが、兄貴にはまだわかるめえ」「百、お前の言う通りだ、このなかみの有難さは、俺の眼では睨(にら)みきれねえが、ぜひこいつを拝みてえという人があるんだから、ちっとばかり貸してもらいてえ」「うむ、そう話がわかりさえすりゃあ、ほかならぬ兄貴に貸惜しみをするような、おれではねえが、まあもう少し待ってもらいてえというのはほかじゃねえ、おれの方にも、この品を一目拝みてえという人があるんだ、それを先口(せんくち)にして、それが済んでから、兄貴の方へ廻すとしようじゃねえか」「そいつはいけねえ、先口と言えばこっちに割があるんだ、これ見ねえ、この通り、蜘蛛の巣だらけ煤だらけになって、骨を折ってようやく取り出して来たものだ、くわえ煙草で懐ろ手をしている奴に渡せるものか」「そりゃまたよくねえ、立ってるものは親でも使えということがあるじゃねえか、おれだってなにも兄貴をこき使って、くわえ煙草で澄ましていようという不了見じゃねえが、一足後れたのがこっちの不運さ、そんなことを言わずに貸してもらいてえ」「一足後れたのが手前の不運だから、諦めるがいいや、今日のところは兄貴に譲らなくちゃならねえ」「ところが、そういかねえのだ、約束をきめて来たんだから、持って帰らねえと、がんりきの面(つら)が立たねえというものだ、どうか弱い弟を憐(あわれ)んでおくんなさいまし」「そう言われるとこっちも同じことだ、これを持って帰らねえと七兵衛の沽券(こけん)が下る、まあまあ兄貴に譲れ」「そうなると兄貴、おれも意地だから、腕にかけても……と言いてえが、兄貴は両腕そろっているが、おれは悲しいことに一本足りねえ、そうかと言って、みすみす兄貴に譲って引くのも業腹(ごうはら)だから、ここでうまく、馴れ合っちまおうじゃねえか...
中里介山 「大菩薩峠」
...もう悔いても間に合はぬ諦めるより外はない...
長塚節 「佐渡が島」
...私たちはこの冬の石炭はまず諦めることにした...
中谷宇吉郎 「琵琶湖の水」
...もはや諦めるより他はなかったのである...
野村胡堂 「楽聖物語」
...諦める――物を妥協的に考える人には...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...諦める忠弘では無かったのです...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...もとよりそんなことで諦める左母次郎ではありません...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...半次郎が三百兩持出して身請(みうけ)するといつたやうな馬鹿なことを諦めるかも知れないと思つたんだらう」「孫六まで殺すのは...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...諦める外はあるまいよ」二人の調べも話も...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...ではもう諦めるより仕様がないのであろう...
久生十蘭 「ノンシャラン道中記」
...我々は体系を確立する目的を達成することを諦めるべきではないだろう...
デイビッド・ヒューム David Hume 井上基志訳 「人間本性論(人性論)」
...回教は何事も上帝の思(おぼ)し召しのままと諦めるべく教える...
南方熊楠 「十二支考」
...自分は病弱なのだから良人に外であそばれてもしようがない、と諦める...
矢田津世子 「女心拾遺」
...おっ母さんも諦めるでしょうし...
山本周五郎 「赤ひげ診療譚」
...死んだものと諦めるより他に...
夢野久作 「白髪小僧」
...そう諦めるよりしようがなかった...
吉川英治 「剣難女難」
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