...詮方(せんかた)なく宿所姓名を告げ...
饗庭篁村 「良夜」
...詮方なしに写生をやめた...
大下藤次郎 「白峰の麓」
...詮方(せんかた)なく...
アントン・チエホフ Anton Chekhov 瀬沼夏葉訳 「六號室」
...友(とも)の喋喋(べらべら)語(しゃべ)るのを詮方(せんかた)なく聞(き)いている...
アントン・チエホフ Anton Chekhov 瀬沼夏葉訳 「六号室」
...いまは詮方なしと三軍が力を合せて御ところに攻め入る事になつたとか...
太宰治 「右大臣実朝」
...一歩々々がルンペンの悲哀だつた、一念々々が生存の憂欝だつた、熊本から川尻へ、川尻からまた熊本へ、逓信局から街はづれへ、街はづれから街中へ、そして元寛居であたゝかいものをよばれながらあたゝかい話をする、私のパンフレツト三八九、私の庵の三八九舎もだん/\具体化してきた、元坊の深切、和尚さんの深切に感謝する、義庵老師が最初の申込者だつた!寒くなつた、冬らしいお天気となつた、風、雪、そして貧!十二月廿三日曇、晴、熊本をさまよふてSの家で、仮寝の枕!けふも歩きまはつた、寝床、寝床、よき睡眠の前によき寝床がなければならない、歩いても/\探しても/\寝床が見つからない、夕方、茂森さんを訪ねたら出張で不在、詮方なしに、苦しまぎれに、すまないと思ひながらSの家で泊る...
種田山頭火 「行乞記」
...文字通りその日ぐらしとなつてしまつたから詮方ない...
種田山頭火 「行乞記」
...凡夫としては詮方もない事実である...
種田山頭火 「水〔扉の言葉〕」
...詮方(せんかた)なきにまた怒り...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...長吉は詮方(せんかた)なく疲れた眼を河の方に移した...
永井荷風 「すみだ川」
...詮方(せんかた)のないものであります...
中里介山 「大菩薩峠」
...詮方(せんかた)なく...
中里介山 「大菩薩峠」
...と言われて見れば詮方無く...
西尾正 「陳情書」
...売っても値にならないために詮方なく鼠のかじるのにまかせっぱなしのわずかばかりのおれの蔵書を...
西尾正 「放浪作家の冒険」
...詮方(せんかた)なく...
久生十蘭 「重吉漂流紀聞」
...登恵子は随分情なかったが金儲のためなら詮方ないと諦めて日本髷のカモジや櫛など一切の道具を買い整えて馴れぬ銀杏返しを結った...
細井和喜蔵 「女給」
...それを返す為めの詮方ない荒稼ぎさ(廉売は必然止しこねえ)ところが...
細井和喜蔵 「泥沼呪文」
...涙ながら霊を祭るとかいふ陳腐なる考(かんがえ)を有り難がるも常人ならば詮方(せんかた)なきも...
正岡子規 「俳諧大要」
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