...逃腰とでもいったみたいな微妙な複雑さがあり...
太宰治 「人間失格」
...到底その味覚の複雑さが理解されなかったのであろう...
橘外男 「令嬢エミーラの日記」
...私はただ漠然と日常の世界に張り渡された因果の網目の限りもない複雑さを思い浮べるに過ぎなかった...
寺田寅彦 「浅草紙」
...もう線の節奏が乱れ不必要な複雑さがさらにそれを破壊している...
寺田寅彦 「浮世絵の曲線」
...――論理のこういう無限の複雑さは...
戸坂潤 「認識論とは何か」
...しかし「複雑さが完全に複雑であればそこに自ら一つの方則が成立しこれによって統計的に種々の推論をする事が出来るのである」...
中谷宇吉郎 「救われた稀本」
...(世の中は、むずかしい)人と人との関係、そのつながり、結びつき、などの複雑さ、人間の外にも、内にもいる「敵」というもの、若さの美しさと危険、これからの生きて行く前途を考えて、唇をしっかりと結んだ金五郎の厚い胸に、いろいろな想念が浮かんだ...
火野葦平 「花と龍」
...人間の素晴らしさと複雑さを学んだ...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「煉獄」
...しかしその表現の歴史としての複雑さは...
宮本百合子 「鴎外・芥川・菊池の歴史小説」
...今は全く別な複雑さ鋭さで理解されることであった...
「おもかげ」
...時代の風か職業的ということなのか分らないが、とにかく私は、複雑さを感じ、そういうことには必要以外絶対にふれません...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...その複雑さの隅々までを知りつくし評価しつくしていることからのみ生じる全く揺ぎようのない単一さ...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...今日の国民文学というものの歴史性の複雑さ...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...それとは反対に柔和なものをどこかに隠している複雑さがあった...
室生犀星 「われはうたえども やぶれかぶれ」
...工藝には無益な複雑さが増した...
柳宗悦 「工藝の道」
...事情の複雑さ――具体的にはまだなにもわからないにしても――に深く感動した...
山本周五郎 「季節のない街」
...濃密な複雑さをつつんで...
吉川英治 「新書太閤記」
...このへんの複雑さがよくのみこめないと太平記の社会は単なるてんやわんやにしか観(み)られぬだろう...
吉川英治 「随筆 私本太平記」
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