...「女の弱き心につけ入りたもうはあまりに酷(むご)きお心とただ恨めしく存じ参らせ候(そろ)妾(わらわ)の運命はこの船に結ばれたる奇(く)しきえにしや候(そうら)いけん心がらとは申せ今は過去のすべて未来のすべてを打ち捨ててただ目の前の恥ずかしき思いに漂うばかりなる根なし草の身となり果て参らせ候を事もなげに見やりたもうが恨めしく恨めしく死」となんのくふうもなく...
有島武郎 「或る女」
...空の中に浮き漂うようになると...
有島武郎 「或る女」
...大海に漂う船の中だから...
海野十三 「幽霊船の秘密」
...海面に漂うシャプラン氏の飛行機を発見したという新聞電報が人々を驚かせた...
江戸川乱歩 「黄金仮面」
...人肉の大海に漂うただひとりの男性であった...
江戸川乱歩 「影男」
...漂う気嚢の片隅にすがりつくことが出来た...
江戸川乱歩 「吸血鬼」
...作品全体に漂う、幻想、怪奇、猟奇から考えても、そういう御生活をしていられるのは当然なこと、これは事実だろうと思っていました...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「最初の印象」
...萎(しお)れた草のような女のことですからわたくしの心は漂う水鳥...
稗田の阿禮、太の安萬侶 武田祐吉訳 「古事記」
...ところ/″\に紗のやうな薄い白雲が漂うてゐるばかり...
近松秋江 「箱根の山々」
...線香の香も漂うていたことであろう...
外村繁 「澪標」
...眼前に漂うあの泡(あわ)んぶくを見て...
中里介山 「大菩薩峠」
...この家の中に漂う...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...そうして笑う時はそこにただ笑いが漂うようであった...
堀辰雄 「ルウベンスの偽画」
...何日も何十日も洋上に漂う覚悟がなくてはならないから...
牧逸馬 「運命のSOS」
...窓ぎはには涼しい風が静かに漂うて居りました...
牧野信一 「蛍」
...(歌) 都ぞ弥生の雲紫に花の香漂う宴の莚尽きせぬ奢に濃き紅やその春 暮れては移ろう色の(立ちどまる)春子 (他の三人に)ほらね...
三好十郎 「樹氷」
...」「彼処に坐っていると皆さんの酒気が漂うて来て...
室生犀星 「蜜のあわれ」
...潮に漂うて海の外から...
柳田国男 「山の人生」
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