...血が流れて四十二吋(インチ)の臼砲(きゅうほう)が漂う...
大隈重信 「大戦乱後の国際平和」
...寒汐(さむしお)に漂うたら...
寺島柾史 「怪奇人造島」
...彼らが漂う時運の流れであった...
豊島与志雄 「レ・ミゼラブル」
...狭い部屋の中には幼い体臭が漂うている...
永井隆 「この子を残して」
...海女が立っていた近くの海上には、世にも怖るべき海獣が一つ、漂うている...
中里介山 「大菩薩峠」
...直ぐ眼の前の宮川の岸辺に漂うた破れた屋形船であります...
中里介山 「大菩薩峠」
...今までは静かに漂うものの無気味さに打たれていたのですが...
中里介山 「大菩薩峠」
...風に漂う落葉のようなもろい男女のつながりだけで...
林芙美子 「晩菊」
...紫色をした大島が私の網膜に「黒船」か何かのやうに漂うて映りました...
牧野信一 「砂浜」
...明日天気になあれ」と子供らは歌いながらあっちこっちの横町や露路に遊び疲れた足を物の匂(にお)いの漂う家路へと夕餉(ゆうげ)のために散って行く...
水上滝太郎 「山の手の子」
...そこには常に放浪病者を魅惑するやうな遠い国々の幻影が漂うてゐた...
宮地嘉六 「煤煙の臭ひ」
...おどろくべき立派な態度で良識を発揮しました)の千石船は黒潮にも赤潮にも摧(くだ)かれずに漂う力をもっていることを願って居ります...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...それを寂しむような表情が漂うていた...
室生犀星 「後の日の童子」
...なまなましい排泄物や塵芥やらが漂うていることも稀れなことではない...
山之口貘 「ダルマ船日記」
...旧(ふる)い街丈(だけ)に何処(どこ)か落着いて光沢(つや)消しをした様な雅(が)な趣(おもむき)が漂うてる...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
...妃たちの溶く化粧のものの香や臙脂(えんじ)の艶(なま)めきが漂うなども...
吉川英治 「私本太平記」
...もう秋といふより冬に近い靜けさがその小松老松の間に漂うてゐた...
若山牧水 「樹木とその葉」
...表面に漂う意味ありげな形を捕えて...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
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