...妙な臭気が家中に漂うてゐた...
石川啄木 「刑余の叔父」
...暗い夜路に漂うてゐる...
石川啄木 「鳥影」
...不可思議な藻の様に漂う髪の毛...
江戸川乱歩 「吸血鬼」
...凩の吹きすさむ中に漂うておるような人間である...
高浜虚子 「俳句への道」
...その花の匂いがほんのり四辺(あたり)に漂うているように思われた...
田中貢太郎 「断橋奇聞」
...――今ではそうした影も漂うていない...
徳田秋声 「新世帯」
...河上に漂う透きわたった靄(もや)や...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...笛吹の本流の方へと漂うて行くのであります...
中里介山 「大菩薩峠」
...青い影が漂うようなのに...
長谷川時雨 「市川九女八」
...浪(なみ)に漂う浮艸(うきぐさ)の...
二葉亭四迷 「浮雲」
...周りに漂う香水も分かった...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「黄金薔薇」
...淋しい夜風の漂う底に...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...室の中にふわりと花の香のように漂うていた...
室生犀星 「幼年時代」
...二人の泊っている木賃宿のアンペラ敷の上までも漂うていた...
夢野久作 「名娼満月」
...妃たちの溶く化粧のものの香や臙脂(えんじ)の艶(なま)めきが漂うなども...
吉川英治 「私本太平記」
...帰するところなく漂う心を身にかくしておるのがおたがい人間でござるよ...
吉川英治 「梅里先生行状記」
...高原などに漂うてゐる寂しさもまた忘れ難い...
若山牧水 「樹木とその葉」
...表面に漂う意味ありげな形を捕えて...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
便利!手書き漢字入力検索
この漢字は何でしょう??