...葉子は涙に解けて漂うような目を恨めしげに大きく開いて黙って倉地を見返した...
有島武郎 「或る女」
...私は数百匹の百足が水面を漂うのを見た...
エドワード・シルヴェスター・モース Edward Sylvester Morse 石川欣一訳 「日本その日その日」
...血が流れて四十二吋(インチ)の臼砲(きゅうほう)が漂う...
大隈重信 「大戦乱後の国際平和」
...湯気の漂う浴槽から若い女の真っ白い顔がパーマの髪を乱して黒い目を見開いたっきり...
大坪砂男 「浴槽」
...その場所に漂う気持の悪い悪臭が私の胸を悪くさせた...
スティーブンソン Stevenson Robert Louis 佐々木直次郎訳 「宝島」
...宛も風のまにまに漂う水草のようなものである...
豊島与志雄 「生活について」
...私は濃霧の海上に漂う船のように何一つ前途の方針...
永井荷風 「監獄署の裏」
...やはり冷たい色が漂うように見えて...
中里介山 「大菩薩峠」
...海女が立っていた近くの海上には、世にも怖るべき海獣が一つ、漂うている...
中里介山 「大菩薩峠」
...強い光の冷笑が漂うているのは不思議です...
中里介山 「大菩薩峠」
...室内はなんとなく暗陰たる色が漂うております...
中里介山 「大菩薩峠」
...口辺に漂う苦笑を...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...船がひっくりかえって波間を漂うときは小桶一つ板一枚が案外の役に立つようなものでね...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...そこに何ともいわれぬ温かい空気が漂うているように思われた...
室生犀星 「性に眼覚める頃」
...いつまでも空に漂うているようだった...
矢田津世子 「茶粥の記」
...旧(ふる)い街丈(だけ)に何処(どこ)か落着いて光沢(つや)消しをした様な雅(が)な趣(おもむき)が漂うてる...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
...妃たちの溶く化粧のものの香や臙脂(えんじ)の艶(なま)めきが漂うなども...
吉川英治 「私本太平記」
...また柔らかに膝を包んで蓮弁の座に漂う...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
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