...またこの頃フランスには蚕にペブラン病と名づけられた一種の病気が流行し出してだんだんに全国にひろがってそのおかげで養蚕業(ようさんぎょう)がまるでみじめな有様になり...
石原純 「ルイ・パストゥール」
...人間も働くだけ働けば蚕のように上がらなければなるまい...
伊藤左千夫 「廃める」
...その蚕から取った本絹の着物など夢にも着れない現状を...
犬田卯 「錦紗」
...そこには五畝歩ほどの不毛地――恐らく年々の洪水のために蚕食されて川床になっている部分でも勘定に入れない限り...
犬田卯 「荒蕪地」
...」ひらりと自転車を下りたその中年の男――選挙ブローカーもやれば、墓碑の下文字も書く、蚕種、桑葉、繭の仲買いもやれば、雑穀屋の真似もやると言ったような存在――俗称「塚屋」で通っているこの五尺足らずの顔面ばかりが馬鹿に大きく、両眼はあるか無きかの一線にすぎない畸形児風の男は、浩平をまともに見て、にやりと笑った...
犬田卯 「米」
...衣服を造るには蚕の蛹を何万億となく蒸し殺さねばならぬ...
丘浅次郎 「いわゆる自然の美と自然の愛」
...森春濤(しゆんとう)は蚕豆(そらまめ)...
薄田泣菫 「茶話」
...彼が養蚕家としての試みの記念(きねん)として今も三日月形に残って居る...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...大切(だいじ)の大切のお蚕様(こさま)が大きくなって居るのだ...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...石黒隊の須田という兵長が蚕棚の下段へ大胡坐をかいて大きな声で怒鳴っていた...
久生十蘭 「ノア」
...臥蚕の眉、引結ばれた大きな唇...
久生十蘭 「魔都」
...辰男君床の間に蚕を飼ふよく眠る御蚕に大幅懸りけりふらこゝを掛けて遊ぶや神の森鞦韆にしばし遊ぶや小商人代馬や又廻り来し草の門遠き祖の墳墓のほとり耕しぬ炉塞や一枝投げさす猫柳炉塞いでしとね並べぬ宿直人炉塞いで人逍遙す挿木垣青々と挿木の屑の掃かれけり一鍬の田の土盗む挿木かな口とぢて打ち重りつ種俵種まくや火の見梯の映す水に種俵大口あけて陽炎(かげろ)へり守水老...
前田普羅 「普羅句集」
...第十七蚕豆(そらまめ)飯も前と同じように若い蚕豆の皮を剥(む)いて四合か五合位を一升のお米へ混ぜて塩味で炊きます...
村井弦斎 「食道楽」
...蚕飼(こがい)をさせ...
森鴎外 「山椒大夫」
...これも始めの蚕と同じものだと言ったらおかしなことになる...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...築きあげたりしながらまるで蚕のように...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...蚕(かいこ)の上簇(じょうぞく)や麦苅入(むぎかりい)れの支度(したく)に...
柳田国男 「山の人生」
...なんだ――」と蚕婆と燕作が...
吉川英治 「神州天馬侠」
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