...提灯を十も吊した加藤醫院の前には大束の薪がまだ盛んに燃えてゐて...
石川啄木 「鳥影」
...表町(おもてちょう)で小さい家(いえ)を借りて、酒に醤油(しょうゆ)、薪(まき)に炭、塩などの新店を出した時も、飯喰(く)う隙(ひま)が惜しいくらい、クルクルと働き詰めでいた...
徳田秋声 「新世帯」
...古来の倹約な習慣のために後悔のあまり和らげられていた――(彼は大束の薪(まき)を費消しながら...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...薪(まき)ざっぽうや麦藁(むぎわら)とは違うのだから...
中里介山 「大菩薩峠」
...一かかえある薪を炉の中で二把燃やし尽くすまでは帰らないと云うあきらめを持たせる事になって居た...
中里介山 「百姓弥之助の話」
...薪(まき)に火をかける前に...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...薪炭林の中林作業に一生をかけると云つてゐたものだが...
林芙美子 「浮雲」
...よく薪(まき)を束ねるときにやるように丸くくくってあった...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「城」
...たちまち薪に燃えつくという仕掛けだ」と言って...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...むやみに松薪をおしこんで...
久生十蘭 「肌色の月」
...そして薪さへあれば――とも云つたね...
牧野信一 「鏡地獄」
...斧を揮つて薪をつくつた...
牧野信一 「籔のほとり」
...もう薪の少なくなった地方の一つだが...
柳田国男 「母の手毬歌」
...村には薪山を持たぬために舟渡しを越えて...
柳田国男 「雪国の春」
...薪割りが済むとなにかまた用を思いだす...
山本周五郎 「さぶ」
...すっかり薪(まき)も割ってある」と...
吉川英治 「三国志」
...薪小屋(まきごや)にでも引っこんでいろ」抜く手まねでもしたら横ッ飛びに消えてゆくであろうと...
吉川英治 「新書太閤記」
...横川(よかわ)の大乗院の薪倉(まきぐら)から...
吉川英治 「新書太閤記」
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