...つい今(いま)し方(がた)蔽い布を取って見て驚いた位なんです...
江戸川乱歩 「悪魔の紋章」
...幾度も、幾度も、ほんとうにいくたびも、ためらった後、とうとう彼は意を決して、その蔽いを、とり去ってみたのです...
高神覚昇 「般若心経講義」
...さらに向こう側の高粱の上に蔽い重なった...
田山花袋 「一兵卒」
...ただ向う側の割竹を並べた垣の上に鬱蒼と茂って路地の上に蔽いかぶさっている椎(しい)の木らしいものだけが昔のままのように見える...
寺田寅彦 「子規自筆の根岸地図」
...――認識が時代の生産的実践を蔽い得ない時に...
戸坂潤 「認識論とは何か」
...電気に蔽いをして室を暗くした...
豊島与志雄 「子を奪う」
...後ろから蔽い被さってくる過去の暗い影ではなくて...
豊島与志雄 「二つの途」
...重々しい雰囲気が社会全般を蔽いつつあった頃のことでした...
豊島与志雄 「三つの嘘」
...急速にそれを蔽い隠し...
久生十蘭 「海豹島」
...片方の腕を黒外套の蔽いからはねのけると...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「神の剣」
...ヤ……私は……まだ独身で……智恵子もハッと半巾(ハンケチ)で口を蔽いながらあやまった...
夢野久作 「黒白ストーリー」
...その上から緞子(どんす)の羽根布団を蔽いかぶせて...
夢野久作 「ココナットの実」
...白い塵がコッソリ蔽い冠さって来る...
夢野久作 「塵」
...その上に掛かっております白い蔽いが...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...自分等の不正事実を蔽い隠そうと試みているのだ...
夢野久作 「爆弾太平記」
...……たとえば七面鳥は山の向うに鷹が来ている事を知って雛鳥を蔽い隠し...
夢野久作 「霊感!」
...それを蔽い隠すことも無駄だった...
横光利一 「旅愁」
...彼女のうえに蔽いかぶさっている花ざかりの林檎のぎっしり茂った枝ごしに...
神西清訳 「ムツェンスク郡のマクベス夫人」
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