...人生は吾人の期待せざる種々の運命と驚異すべき経験を貯へ吾人の先見し能はざる幾多の蕾を蔵するものなる事を彼等は瞥見する事が出来ないのであらうか...
エレン・ケイ 伊藤野枝訳 「恋愛と道徳」
...この破片を(二つ合)わせたるときはデルマの秘(蔵する宝)庫の位置およびその宝庫(の開き方を知)ることを得るよしな(り...
海野十三 「少年探偵長」
...また被害民の気勢は不穏を蔵するように誤り伝えられて...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...貴下の盲目物語よりも自分の珍蔵するものゝ方が優っていると云うのではないが...
谷崎潤一郎 「聞書抄」
...地殻的構造の複雑なことはまた地殻の包蔵する鉱産物の多様と豊富を意味するが...
寺田寅彦 「日本人の自然観」
...木場は所蔵する現代諸家の短冊や書簡を取出し...
永井荷風 「来訪者」
...汝の頭中に秘蔵する学問には黴(かび)が生(は)えるべし...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...偶然事と見えるものは必然事を包蔵する容器であること」という表現で...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...わたくしは良子刀自の蔵する所の摸本を見た...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...わたくしは林中将太郎さんの蔵する玉蘊の画幅に「平田氏之女豊」の印があることを聞いた...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...躋寿館は此仁和寺本を影写して蔵することを得た...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...松田氏の蔵する所に柏軒の筆蹟があるが...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...書を蔵する家に遇(あ)えば...
森鴎外 「渋江抽斎」
...彼らの餌として貯蔵するにたらなくなるのを恐れて...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...現代の私たちは千余年前にできたあの中宮寺(ちゅうぐうじ)に蔵する「天寿国曼荼羅(てんじゅこくまんだら)」の色彩の前に...
柳宗悦 「工藝の道」
...家蔵するものだけは念のために眼を通した...
柳田国男 「海上の道」
...メダレ以前の食塩は製し方が粗末で「にがり」が多くこれを貯蔵することが容易でなかった...
柳田國男 「食料名彙」
...のちに乾燥して貯蔵する故に...
柳田国男 「木綿以前の事」
便利!手書き漢字入力検索