...しかし彼に与えられたものは畢竟落寞(ひっきょうらくばく)とした孤独だった...
芥川龍之介 「大導寺信輔の半生」
...この故に落寞たる人生を十分に享楽する為には...
芥川龍之介 「僻見」
...京伝馬琴以後落寞として膏(あぶら)の燼(つ)きた燈火(ともしび)のように明滅していた当時の小説界も龍渓鉄腸らのシロウトに新らしい油を注ぎ込まれたが...
内田魯庵 「四十年前」
...『岸の山吹咲き亂れ』とか『汀の櫻散り敷きて』とか『青柳絲を亂し』とかある晩春初夏の景色は此落寞たる雪の中で固より想像することは出來ぬ...
高濱虚子 「俳諧師」
...氣をつけて見ると著物ばかりで無く障子の古びやうから中床の上の落寞とした模樣など餘程貧しげに見える...
高濱虚子 「俳諧師」
...東京駅外が落寞(らくばく)としているのもこれ等が重な原因である...
高浜虚子 「丸の内」
...浅草は落寞(らくばく)たる年の瀬を越し...
高村光雲 「幕末維新懐古談」
...広巳の眼の前には落寞(らくばく)とした世界がひろがっていた...
田中貢太郎 「春心」
...これで懐はまた秋風落寞...
種田山頭火 「行乞記」
...落寞とした気持になる...
豊島与志雄 「生活について」
...然りと雖も人老ゆるに及んで身世(しんせい)漸く落寞(らくばく)の思いに堪えず壮時を追懐して覚えず昨是今非(さくぜこんひ)の嘆を漏らす...
永井荷風 「偏奇館漫録」
...地図の上は落寞とした秋であった...
林芙美子 「放浪記(初出)」
...落寞とした空間に...
久生十蘭 「蝶の絵」
...トンネルのやうにガラン洞で、落寞としてゐる、いやこれは生れつきだ、此奴親父をきつかけにして、いろんな風に媚びたり甘えたりしてゐるに違ひない...
牧野信一 「蝉」
...見るから無慘な落寞たる物情である...
三島霜川 「解剖室」
...落寞(らくばく)として...
吉川英治 「剣の四君子」
...落寞(らくばく)とした甲山(こうざん)の秋よ...
吉川英治 「神州天馬侠」
...落寞(らくばく)たる夜風がふたりを払ってゆく...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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