...絶えず彼の懐ろの中に鋼鉄色の表紙をした「ツアラトストラ」を感じてゐた...
芥川龍之介 「大導寺信輔の半生」
...澄み切つた鋼鉄色(かうてついろ)の天蓋を被(かづ)いて...
石川啄木 「葬列」
...坂の上に鋼鉄色(はがねいろ)の空を劃(かぎ)つた教会の屋根から...
石川啄木 「病院の窓」
...一つは鋼鉄色で長くて幅がせまく...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...つやつやと鋼鉄色に輝いて進水した...
太宰治 「お伽草紙」
...白絣の上に鉄色の絽の羽織を着てゐた...
田中貢太郎 「蛾」
...其処へやつて来た此の鉄色がかつた栗色の肌の牧野信一は...
中原中也 「思ひ出す牧野信一」
...周囲(まわり)は鉄色に近い藍(あい)で...
夏目漱石 「草枕」
...鉄色の大きな手が...
林芙美子 「新版 放浪記」
...鉄色にさびた街路樹の梢にしみじみ雀のつぶてを見た...
林芙美子 「放浪記(初出)」
...丸い船窓のなかで鋼鉄色の波がヌッと高まってはまたすぐ落ちこむように下っていく...
久生十蘭 「ノア」
...鉄色メリヤス上下共十五通...
本庄陸男 「石狩川」
...こゝに赤きプラカードのごとくわれらと共に擁する友を亨けしめよ牢獄! 崩れた喜びと愛と思い出の蘇る日友と生活の悦びを金盞花えの雑りけなき接吻と共に鉄色の電気の溶流の瞬間の衝撃のごとく野の空気の翼の自由なはためきの中に放射状の紫の果樹の列を...
槇村浩 「青春」
...鋼鉄色の大空を凝視していた...
夢野久作 「戦場」
...裏は鉄色の繻子(しゅす)...
夢野久作 「暗黒公使」
...他の処と同様に鉄色の繻子(しゅす)であった...
夢野久作 「暗黒公使」
...腕は千斤も吊るべしと思われる鉄色の肌をしている...
吉川英治 「三国志」
...どんなに跡を探していたか知れやしねえ」何か一物(もつ)ありそうなお十夜――あのそぼろ助広の鉄色(かねいろ)のようにトロリとした眼でお綱を視(み)る……...
吉川英治 「鳴門秘帖」
便利!手書き漢字入力検索