...白絣の上に鉄色の絽の羽織を着てゐた...
田中貢太郎 「蛾」
...麦藁帽子にも鉄色の絽の羽織の肩のあたりにも雨の水が光つてゐた...
田中貢太郎 「蛾」
...その形付をする男が傍の濁つた溝のやうな鉄色をした川で...
田山録弥 「百日紅」
...たぷ/\と岸を打つ鉄色をした海の上には...
田山録弥 「町」
...彼は鉄色の炎熱に霞んだ家畜を視た...
豊島与志雄 「現代小説展望」
...鉄色にさびた街路樹の梢にしみじみ雀のつぶてを見た...
林芙美子 「放浪記(初出)」
...鉄色の大きな手が...
林芙美子 「放浪記(初出)」
...鉄色メリヤス上下共十五通...
本庄陸男 「石狩川」
...鉄色無地の羽二重(はぶたえ)の着流し姿に...
三上於兎吉 「艶容万年若衆」
...真中に鉄色のふっくりした座布団が二つ...
夢野久作 「あやかしの鼓」
...神事能や翁の門下の月並能の番組が決定すると、祖父の灌園は総髪に臘虎(らっこ)帽、黄八丈に藤色の拝領羽織、鉄色献上の帯、インデン銀煙管(ぎせる)の煙草入、白足袋に表付下駄、銀柄の舶来洋傘(筆者の父茂丸が香港から買って来たもので当時として稀有のハイカラの贅沢品)という扮装(いでたち)で、喰う米も無い(当時一升十銭時代)貧窮のただ中に大枚二円五十銭の小遣(催能の都度に祖父が費消する定額)を渫(さら)って弟子の駈り出しに出かけたので、祖母や母はかなり泣かされたものだという...
夢野久作 「梅津只圓翁伝」
...もしくは鉄色無地の紬(つむぎ)の仕舞袴...
夢野久作 「梅津只圓翁伝」
...血も涙もない鋼鉄色の瞳をギラギラさせる...
夢野久作 「怪夢」
...ピカピカと張り詰められている鋼鉄色の青空を仰いだ...
夢野久作 「木魂」
...裏は鉄色の繻子(しゅす)...
夢野久作 「暗黒公使」
...他の処と同様に鉄色の繻子(しゅす)であった...
夢野久作 「暗黒公使」
...どんなに跡を探していたか知れやしねえ」何か一物(もつ)ありそうなお十夜――あのそぼろ助広の鉄色(かねいろ)のようにトロリとした眼でお綱を視(み)る……...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...深みのある鉄色(かねいろ)の烈しさと...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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