...雲一つない鋼鉄色(はがねいろ)の空には...
石川啄木 「病院の窓」
...白絣の上に鉄色の絽の羽織を着てゐた...
田中貢太郎 「蛾」
...麦藁帽子にも鉄色の絽の羽織の肩のあたりにも雨の水が光つてゐた...
田中貢太郎 「蛾」
...たぷ/\と岸を打つ鉄色をした海の上には...
田山録弥 「町」
...彼は鉄色の炎熱に霞んだ家畜を視た...
豊島与志雄 「現代小説展望」
...恥ずかしき紅(くれない)と恨めしき鉄色をより合せては...
夏目漱石 「薤露行」
...周囲(まわり)は鉄色に近い藍(あい)で...
夏目漱石 「草枕」
...鉄色にさびた街路樹の梢にしみじみ雀のつぶてを見た...
林芙美子 「放浪記(初出)」
...鉄色の大きな手が...
林芙美子 「放浪記(初出)」
...丸い船窓のなかで鋼鉄色の波がヌッと高まってはまたすぐ落ちこむように下っていく...
久生十蘭 「ノア」
...この頃は鋼鉄色になりはじめた欅の梢など眺めながら電車を待ってのって...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...真中に鉄色のふっくりした座布団が二つ...
夢野久作 「あやかしの鼓」
...光雲(てるも)神社の祭能の時は拝領の藤巴の紋の付いた、鉄色の紋付に、これも拝領物らしい、茶筋の派手な袴を穿いている事もあった...
夢野久作 「梅津只圓翁伝」
...ピカピカと張り詰められている鋼鉄色の青空を仰いだ...
夢野久作 「木魂」
...鋼鉄色の大空を凝視していた...
夢野久作 「戦場」
...他の処と同様に鉄色の繻子(しゅす)であった...
夢野久作 「暗黒公使」
...腕は千斤も吊るべしと思われる鉄色の肌をしている...
吉川英治 「三国志」
...高い岩壁に沿うて十丈又は十五丈もある黒鉄色の岩礁が二三本鎗の穂尖(ほさき)の様に鋭く並んで聳え立って居る...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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