...まっ白な広間の寂寞(せきばく)と凋(しぼ)んだ薔薇の莟(つぼみ)のと...
芥川龍之介 「女」
...太陽神ラー(Ra)もまた原始水の中で一つの蓮華の莟の中に隠されていたが...
スワンテ・アウグスト・アーレニウス Svante August Arrhenius 寺田寅彦訳 「宇宙の始まり」
...□櫻の莟も固く、川風もまだ頬につめたかつた...
心猿 「桜もち」
...莟から莟へあるいてゆく人まだ こころをあかさないとほいむかうにある恋人のこゑをきいてゐると...
大手拓次 「藍色の蟇」
...そのうら若き莟みこそ...
薄田泣菫 「泣菫詩抄」
...さういふ無頼漢や悪戯好きにめぐりあふ機会のない多くの莟は...
薄田泣菫 「独楽園」
...其莟を隱してゐた二枚の葉は三枚の花瓣の爲に忽ち壓伏される...
高濱虚子 「俳諧師」
...夏も末の頃になつて漸く新らしい枝のさきに白い粉の吹いたやうな莟(つぼみ)が沢山につきはじめて...
高浜虚子 「百日紅」
...桃の莟うるむ...
太宰治 「冬の花火」
...わずかに庭前の筧(かけひ)の傍にある花梨(かりん)の莟(つぼみ)が一つ綻(ほころ)びかけているのを...
谷崎潤一郎 「細雪」
...岩かゞみ草などがちらほら眼につく、莟はまだ堅い、いろ/\の小鳥がほがらかにさえづつてゐる、しづかな木立、きよらかな水音、くづれた炭焼小屋、ふきのとう、わらび、雑木の芽、落葉松の若葉はこまやかに、白樺の肌は白うかゞやく...
種田山頭火 「旅日記」
...二分どほり透明な黄色い莟(つぼみ)を綻(ほころ)ばせて...
徳田秋声 「花が咲く」
......
樋口一葉 「別れ霜」
...私は知らず識(し)らずの裡(うち)にそれらの莟を根気よく数えたり...
堀辰雄 「美しい村」
...他の樹立のかげになりながら一本の山茶花がいくつかの目立たないやうな花をこつそり簇がらせてゐるのだつた……それから私がそのジユリイの墓の傍らに落ちてゐるその小さな莟を指さして...
堀辰雄 「生者と死者」
...わたくしども薔薇の莟は隠れています...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...沼の小径に円く並んだ紫陽花の莟がほんのり色をつけていて...
横光利一 「旅愁」
...花も莟もいいが、ことに雨に濡れていよ/\柔らかな薄紅色にそよいでゐる若葉が何ともいへず美しかつた...
若山牧水 「樹木とその葉」
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