...彼女にくらべると私は実に茫漠として濁つてゐる事を感じた...
高村光太郎 「智恵子抄」
...または茫漠としたような...
チェスタートン Chesterton 直木三十五訳 「秘密の庭」
...何かしら、茫漠としている...
豊島与志雄 「傷痕の背景」
...ただその前後は茫漠として少しも見分けがつかなかった...
豊島与志雄 「蘇生」
...その先は茫漠と暮れかけていました...
豊島与志雄 「高尾ざんげ」
...またその棋理も茫漠としていた...
豊島与志雄 「三木清を憶う」
...茫漠とした安心の色を少し加えて...
中里介山 「大菩薩峠」
...南は即ち茫漠として...
長塚節 「草津行」
...一切がただ茫漠として...
萩原朔太郎 「酒に就いて」
...朱帆は海へ出た朱帆は海へ出た潮鳴りの音を聞いたか!茫漠と拡つた海の叫喚を聞いたか!煤けたランプの灯を女房達に託して島の職工達は磯の小石を蹴散し夕焼けた浜辺へ集つた...
林芙美子 「蒼馬を見たり」
...とらへどころなく茫漠としてゐる...
林芙美子 「瀑布」
...茫漠とした観念のやうに横はってゐた...
原民喜 「舌」
...茫漠とした巨大な感覚が彼を呑込んでしまはうとするのだつた...
原民喜 「火の踵」
...「時祷詩集」のスタイルの頗る茫漠として殆ど無形なりしに反し...
堀辰雄 「リルケ年譜」
...茫漠と頭の意識が煙つて了つたのである...
牧野信一 「痴想」
...あとは一瞬時前と同様茫漠とした白い幻がフワフワと漂ふてゐるばかりで...
牧野信一 「妄想患者」
...茫漠と捉えどころのないおんなのいないおんなの考えに出会した...
室生犀星 「われはうたえども やぶれかぶれ」
...明るく澄んだ茫漠とした視野の中に私をつつんでいた...
山川方夫 「博士の目」
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