...「われ筆とることを憂しとなす」――さう云ふ歎きを知つたのは爾来(じらい)何年の後(のち)であらう...
芥川龍之介 「わが散文詩」
...無暗に豪傑振つて女を軽蔑したがるくせに高が売女(ばいぢよ)の一顰(びん)一笑に喜憂して鼻の下を伸ばす先生方は...
内田魯庵 「犬物語」
...私どもはそれを杞憂しております...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...「かならずと契りし君が来まさぬに強ひて待つ夜の過ぎ行くは憂し」と...
薄田泣菫 「茶話」
...一喜一憂したこともポンチ...
太宰治 「道化の華」
...逢うはうれし、逢わぬは憂し...
夏目漱石 「幻影の盾」
...車に月を載せて憂しとおもはぬ汐路かなや』とあつて...
野口米次郎 「能楽論」
...涙ああはや心をもつぱらにしわれならぬ人をしたひし時は過ぎゆけりさはさりながらこの日また心悲しくわが涙せきあへぬはいかなる戀にかあるらむつゆばかり人を憂しと思ふにあらねどもかくありてしきものの上に涙こぼれしをいかにすべきああげに今こそわが身を思ふなれ涙は人のためならで我のみをいとほしと思ふばかりに嘆くなり...
萩原朔太郎 「純情小曲集」
...一喜一憂してゐた...
原民喜 「廃墟から」
...捨て書きす恋し恨めし憂し辛し命死ぬべしまた見ざるべしこれも紫の上のやうな若い人の歌で...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...他は 人の世を楽しむことに我が力少し足らずと歎かるゝかな いみじかる所なれども我にのみ憂しと分ちて世を見ずもがな の二つである...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...衣に摺りし昔の里かかきつばたハンケチに摺って見せけりかきつばた白シャツに摺り付けて見るかきつばたこの里に業平来れば此処も歌見劣りのしぬる光琳屏風かな見るほどに何となつかしかきつばた去(い)ぬは憂し散るを見果てむかきつばたなんとつたない幼稚な句ではないか...
牧野富太郎 「カキツバタ一家言」
...自分の子に一喜一憂してゐるその人々でも...
正宗白鳥 「吉日」
...実に現象的に一喜一憂して来たと思う...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...世間(よのなか)を憂しと恥(やさ)しと思へども飛びさりかねつ鳥にしあらねば(巻五)術もなく苦しくあれば出で走り云(い)ななと思(も)へど児らにさやりつ(同)あらたへの布衣(ぬのぎぬ)をだに著せがてにかくや歎かむせむすべをなみ(同)等の如き作品すら...
三好達治 「万葉集の恋歌に就て」
...野原さんのお話に一喜一憂していたところ...
山崎富栄 「雨の玉川心中」
...一勝一敗にいちいち喜憂したりするものではない...
吉川英治 「三国志」
...一喜一憂していた程度であるから...
吉川英治 「新書太閤記」
便利!手書き漢字入力検索