...「われ筆とることを憂しとなす」――さう云ふ歎きを知つたのは爾来(じらい)何年の後(のち)であらう...
芥川龍之介 「わが散文詩」
...無暗に豪傑振つて女を軽蔑したがるくせに高が売女(ばいぢよ)の一顰(びん)一笑に喜憂して鼻の下を伸ばす先生方は...
内田魯庵 「犬物語」
...なおこの暴風雨によって被害民たちがしきりに杞憂しだしたのは...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...「かならずと契りし君が来まさぬに強ひて待つ夜の過ぎ行くは憂し」と...
薄田泣菫 「器用な言葉の洒落」
...「かならずと契りし君が来まさぬに強ひて待つ夜の過ぎ行くは憂し」と...
薄田泣菫 「茶話」
...内心おろかしく一喜一憂し...
太宰治 「人間失格」
...里飛びたちし鶴の子が去りて歸らぬ松一株(いつしゆ)花なき色は替らねど枯れては恨む糸櫻吹くや淋しきすさまじき幾代浮世の風のねに命の汀眺むれば寄するも憂しや老の波...
土井晩翠 「天地有情」
...漸く折生迫にもどれば同人の手紙などとゞきて居たるを一つ/\と披きみてはくりかへしつゝとこしへに慰もる人もあらなくに枕に潮のをらぶ夜は憂しむらぎもの心はもとな遮莫をとめのことは暫し語らず夜は苦しき眠りに落つるまで...
長塚節 「長塚節歌集 下」
...一喜一憂しながら...
中谷宇吉郎 「『団栗』のことなど」
...憂し嬉しの源から珠を欺く涙が湧いて出る...
夏目漱石 「幻影の盾」
...紫に春の風吹く歌舞伎幕憂しと思ひぬ君が名の皺昔の劇場風景...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...衣に摺りし昔の里かかきつばたハンケチに摺つて見せけりかきつばた白シヤツに摺り付けて見るかきつばたこの里に業平来れば此処も歌見劣りのしぬる光琳屏風かな見るほどに何んとなつかしかきつばた去ぬは憂し散るを見果てむかきつばた何んと拙(つた)ない幼稚な句ではないか...
牧野富太郎 「植物記」
...去ぬは憂し散るを見果てむかきつばたここを去るのはどうも惜しい...
牧野富太郎 「植物記」
...世間(よのなか)を憂しと恥(やさ)しと思へども飛びさりかねつ鳥にしあらねば(巻五)術もなく苦しくあれば出で走り云(い)ななと思(も)へど児らにさやりつ(同)あらたへの布衣(ぬのぎぬ)をだに著せがてにかくや歎かむせむすべをなみ(同)等の如き作品すら...
三好達治 「万葉集の恋歌に就て」
...野原さんのお話に一喜一憂していたところ...
山崎富栄 「雨の玉川心中」
...思えば憂しや我ながら...
夢野久作 「梅津只圓翁伝」
...哀(かな)しみは遠き窓より我に来(き)ぬ夜(よる)を催す黒雲(くろくも)の如(ごと)恋人と世界を歩む旅に居てなどわれ一人さびしかるらんわが脊子(せこ)よ君も物憂し斯(か)かること言放(いひはな)つまで狂ほしきかな宿の近くにババリヤ公園があつて...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
...一喜一憂していた程度であるから...
吉川英治 「新書太閤記」
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